円形脱毛症に悩む人に朗報!新薬の有効性確認
日本毛髪科学協会の認定講師で毛髪診断士の けんぞう です。
今日もご覧になっていただきありがとうございます。
今日も科学的根拠に基づいた育毛関連の情報をお届けしたいと思います。
はじめに
円形脱毛症に悩む人は世界中で数多く、
米国の統計では全人口の0.1~0.2%が円形脱毛症を患っており、
国内での円形脱毛症の患者数は25万人余といわれますが、実際には100万人が罹患しているとみられています。
以前にお知らせしたように、
など、女性の有名人でも円形脱毛症で悩む人が多いのです。
そんな円形脱毛症に悩む人に朗報が!
アメリカでの臨床試験において新薬が重度の円形脱毛症の患者で有効性を示したと発表されました。
国内でも2022~2023年に同じような2つの新薬が承認される見込みです。
円形脱毛症の臨床試験で新薬の有効性が確認
アメリカの食品医薬品局(FDA)から円形脱毛症のブレークスルーセラピーに指定(*)されているヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬のバリシチニブの臨床試験成績が公表され、
バリシチニブが2つの第Ⅲ相臨床試験で、
10ヵ国の重症円形脱毛症患者1,200例において、
有効性が確認されたと世界的な科学雑誌であるNew Englande Journal of Medicinに掲載されました。
(*)ブレークスルーセラピー指定とは、重篤な疾患の治療薬で、既存の治療法より大幅な改善が期待できることが示唆された医薬品で、開発や審査を促進するための制度。
Two Phase 3 Trials of Baricitinib for Alopecia Areata
詳しく見る ⇒ New Englande Journal of Medicin. 2022 Mar 26
臨床試験は、10ヵ国の169施設において行われ、
頭髪の50%以上で脱毛がみられる重症の円形脱毛症の成人患者を対象に、
- 対照群(189人+156人)
- バリシチニブ2mgの1日1回投与(184人+234人)
- バリシチニブ4mgの1日1回投与(281人+156人)
の3群で有効性と安全性を評価したのです。
その結果、
バリシチニブ4mg投与群でも2mg投与群で有意な改善がみられたのです。
1つ目の試験では、バリシチニブ投与群で22.8~38.8%の改善が、
2つ目の試験では、23.2~32.6%の改善がみられたそうです。
さらに有効性と安全性を評価するため最大200週間までの長期試験が進行中ですが、
研究グループは、
重症の円形脱毛症患者を対象とした2つの臨床試験でバリシチニブは有意な発毛効果を示すことが認められ、
有害事象は、上気道感染症、頭痛、鼻咽頭炎、にきび、尿路感染症、血中クレアチンキナーゼ上昇などであったと結論しています。
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バリシチニブはヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬
今回、有効性が明らかになったバリシチニブはヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬といわれる新薬です。
細胞の外からの様々な刺激を細胞内に伝えるために働く酵素はキナーゼと呼ばれ、数多くの種類がありますがJAKとはこの中の一つです。
関節リウマチなどでは、サイトカインという物質が関節内の白血球などの免疫に関与する細胞を活性化して炎症を引き起こしているのですが、
サイトカインはが細胞に刺激を与えると、JAKが細胞の中で刺激を下流に伝える重要な働きをしているのです。
このJAKの働きを阻害するのがJAK阻害剤なのですが、
国内ではリウマチ治療薬などとして、
- ゼルヤンツ(一般名トファシチニブ) 2013年7月に発売された
- オルミエント(一般名バリシチニブ) 2017年9月に発売
- スマイラフ(一般名ペフィシチニブ) 日本で開発され、2019年7月に発売
- リンヴォック(一般名ウパダシチニブ) 2020年4月に発売
- ジセレカ(一般名フィルゴチニブ)2020年11月に発売
4つのJAK阻害薬が発売されています。
今回のオルミエント(一般名バリシチニブ)もリウマチ治療薬として世界で発売されていますが、
円形脱毛症の治療薬として適応拡大の試験が行われているのです。
国内で発売されているJAK阻害のうち2つが円形脱毛症治療薬に適応拡大されてとみられています。
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円形脱毛症の原因は自己免疫
円形脱毛症は小児からお子さんからご高齢者まで男女を問わず発症します。
上にも挙げたように多くの有名人が円形脱毛症に罹患したことを公表していますが、
元日本ハムの森本選手は円形脱毛症でスキンヘッドだったことを明らかにしています。
かつて円形脱毛症は「10円パゲ」などと言われたこともあるように、
円形に脱毛症が起きるのですが、円形円形脱毛症には様々なタイプがあるのです。
「円形脱毛症はストレスが原因」といわれますが、
確かにストレスがきっかけとなり円形脱毛症を発症することも少なくはないのですが、
インフルエンザに感染した後に円形脱毛症を発症したり、原因が全く思い当たらないことも多く、
現在では円形脱毛症は自己免疫疾患の一つと言われています。
詳しくは、「円形脱毛症の種類、原因、治療法」にモカ来ましたが、
免疫機構に携わる自分の白血球(リンパ球)が、
自分の毛根を攻撃してしまうため、
毛髪が抜ける、
という自己免疫が関与していると考えられているのです。
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まとめ
国内の円形脱毛症の患者は小児から高齢者まで男女を問わず100万人もいると言われています。
かつては10円ハゲともいわれた円形脱毛症。
円形脱毛症の原因はストレスだと言われていましたが、自己免疫疾患だと言うことが分かっています。
円形脱毛症はなかなか治りにくいのですが、海外の臨床試験で新薬の有効性が確認され、国内でも1~2年以内に承認される見込みです。
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