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頭髪の再生医療の現状(アメリカ編)

日本毛髪科学協会の認定講師で毛髪診断士の けんぞう です。

今日もご覧になっていただきありありがとうございます。

今日も科学的根拠に基づいた育毛関連の情報をお届けしたいと思います。

 

はじめに

コロラドでの1ヵ月滞在中にはできるだけ薄毛治療の現状を調べてきましたが、

今回のアメリカ滞在はプライベートな所用によるもので、学会参加ではありませんでしたから「最新情報」とは言えませんでした。

しかし、

などの記事については多少は参考にしていただけたと思います。

さて、最後に、再生医療について報告いたします。

 

再生医療は次世代の医療として大きな希望を与えてくれ、

国内でも薄毛治療における再生医療の研究が進んでいますが、

アメリカでは違法な再生医療が横行しているというのです。

 

頭髪の再生医療にも幹細胞が必須

上にも書きましたが、今回のアメリカ滞在はプライベートな所用によるもので、学会参加ではありませんでしたから、

薄毛治療の再生医療についても「最新情報」と言えるほどの新しい情報はないのですが、

アメリカでは違法な再生医療が横行しているという論文をTomに紹介してもらいましたので、それを中心に話を進めたいとおもいます。

 

さて、再生医療というと一番先に頭に浮かぶのが、「iPS細胞」だと思います。

iPS細胞とは、

 

iPS細胞とは、2006年に現在は京都大学iPS細胞研究所 所長である中山伸弥教授によって産み出されて多能性幹細胞で、中山教授らの研究チームが人間の体細胞に少数の因子を導入することにより人工的に開発された幹細胞です。 無限に増殖する能力と体の全ての細胞を作り出す能力を有していることから、「万能細胞」と呼ばれることもあります。

ということで、iPSとはinduced pluripotent stem cellsの略で、日本語では「人工多能性幹細胞」といわれます。

再生医療では、幹細胞(stem cell)がなくては始まりません。

 

通常、私たちの皮膚の細胞は日々、細胞分裂をくり返して新しい皮膚へと更新されています。

髪の毛は髪の毛で、毛母細胞が細胞分裂をくり返して長くなっています。

しかし、

皮膚の細胞は何回分裂をくり返しても髪の毛にはなりません。

 

皮膚の細胞は、私達が胎児で母親の胎内にいるときに、幹細胞から作られたのです。

  • 幹細胞 → (分化誘導)→ 皮膚の細胞
  • 幹細胞 → (分化誘導)→ 髪の毛の細胞

ということで、幹細胞は何にでも変わりえる細胞なのです。

 

再生医療では、幹細胞を目的の細胞に変化させて目的の臓器などを再生させるのです。

したがって、再生医療では幹細胞がなくては始まらないのです。

 

 

幹細胞としては現在は下記の3種類があります。

  1. 幹細胞 : 骨髄や脂肪組織にあり、どんな細胞にでも変化できる万能細胞
  2. ES細胞 : 授精卵から取り出した幹細胞ですが倫理上の問題から使用できません
  3. iPS細胞 : 皮膚などの細胞に遺伝子などを導入して作った医療用幹細胞

 

iPS細胞は、

中山教授らの研究グループが、皮膚などの細胞に遺伝子などを導入して作った医療用幹細胞で、

入手しやすい、扱いやすい、安全だということで再生医療の中心的な幹細胞です。

 

 

再生医療の鍵を握るのが「幹細胞」だということをお分かりいただけましたか?。

人間の体は60兆個の細胞で構成されていますが、その細胞を生み出す元の細胞が幹細胞なのです。

幹細胞は、骨髄、脂肪細胞など体のいたるところに存在していて臓器、皮膚、血液、頭髪などあらゆる体の構成要素を作り出しています。

 

幹細胞には他の細胞にはない、

  1. 自己複製能
  2. 多分化能

の2つの特別な能力を備えており、

自分と同じ細胞を複製することができる能力、

様々な種類の細胞へ分化する能力があることから病気やケガなどで組織が損傷を受けても幹細胞が新しい細胞を生み出して再生することが可能なのです。

 

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アメリカでは未承認の幹細胞が使われているのか

中山教授らの研究グループの功績によって、iPS細胞という幹細胞を利用できるようになったことは再生医療において大きな進歩です。

しかしながら、iPS細胞を用いた再生医療はまだ研究段階であり、対象疾患も治療法のない難病において薦められている段階です。

 

Tomの話では、アメリカでは、

  • アルツハイマー病
  • パーキンソン病
  • 薄毛

などを始め、

  • アンチエイジング

などまで、様々な疾患において再生医療を行うクリニックが非常に多いそうです。

特に、

  • 顔面のしわ取り
  • 顔面のタルミ

などの美容整形における再生委医療が盛んにおこなわれているというのです。

 

しかし、それらの多くは未承認の幹細胞を用いた再生医療で、安全性や有効性が明らかでないとの警告も出されています。

 

カリフォルニア大学サンディエゴ校のHermes Taylor-Weiner教授は、医学雑誌に未承認の幹細胞を用いた再生医療の実態を報告しています。

 

Medicine’s Wild West-Unlicensed Stem-Cell Clinics in the United States.

In recent decades, there has been tremendous hope that stem-cell–based technologies would introduce a new era of regenerative medicine, revolutionizing the treatment of disease.
These hopes have been stoked by reports that often emphasize promising findings without adequately acknowledging the many remaining challenges.

 

詳しく見る⇒ 原著論文

 

アメリカにおいても、FDA(米国食品医薬品局)が承認している再生医療は数疾患にすぎず、それらの再生医療で用いられている幹細胞はいずれも骨髄から採取した幹細胞を用いる再生医療です。

人への移植を目的とする細胞製剤や移植組織は全てFDAの承認をえる必要があるのです。

 

しかし、この報告によると、アメリカのクリニックでおこなわれている再生医療の多くは、

肥満治療の脂肪吸引でえられた脂肪細胞から分離した幹細胞が用いられ

数千ものクリニックでこのような未承認の幹細胞を用いた治療がおこなわれているのだといいます。

 

上で説明したように、脂肪細胞にも多くの幹細胞が含まれており、脂肪細胞から採取した幹細胞は間質血管細胞群(SVF)と呼ばれる幹細胞なのですが、吸引脂肪から幹細胞を含む細胞群を抽出して幹細胞の密度を高めて、乳房や顔そして頭皮などに注入し、豊胸、しわ取り、美顔、育毛などの美容整形で使われることが多いのです。

 

これらの美容整形でおこなわれている再生医療は保険の適応がない自由診療でおこなわれるため5,000~50,000万ドルもの費用がかかるのですが、

まあ、富裕層にとっては美しくなるためなら安い金額なのでしょう。

 

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脂肪幹細胞を用いた頭髪の再生医療

脂肪細胞から採取した幹細胞である間質血管細胞群(SVF)を用いた頭髪の再生医療は

KERASTEM(ケラステム)毛髪再生

といわれる再生医療です。

 

ケラステム毛髪再生法は、アメリカで開発された頭髪の再生医療です。

患者の腹部などから採取した脂肪組織から間質血管細胞群(SVF)を抽出して頭皮へ注入すると治療法です。

 

国内でも、唯一、聖心美容外科クリニックで施術しています。

StemSource幹細胞バンク(脂肪組織由来幹細胞凍結保存システム)とは、自分の脂肪組織から採取した幹細胞を将来の疾患治療や若返り、乳房再建等で活用できるように-150℃の窒素タンクで凍結保存する先進医療サービスを実施しています。

健康な時に幹細胞を採取して保管し、将来の疾患やアンチエイジングに利用しようという今までの医療とは異なったビジネスです。

 

 

再生医療とはいわれますが、髪の毛を産み出す毛母細胞や毛乳頭細胞を再生して髪の毛を再生するのではなく、

 

 

頭皮に注入された間質血管細胞群(SVF)が毛母細胞や毛乳頭細胞を刺激して発毛を促進すると休止期にある毛包が成長期へと変わるというメカニズムのようです。

つまり、産毛をしっかりとした髪の毛に戻すという再生治療です。

 

ケラステム毛髪再生法は、アメリカではFDAの承認に向けてPhase-Ⅱという臨床試験段階だそうです。

聖心美容クリニックでは、KERASTEM(ケラステム)毛髪再生の施術モニターを募集しており、

1,500,000円 ⇒ 600,000円

と、破格の料金で施術を受けることができるようです。

 

まとめ

以上がアメリカにおける頭髪の再生医療の現状です。

アメリカでは頭髪の再生医療がもっと進んでいるのかと思っていましたが、日本のほうが進んでいるようです。

日本における頭髪の再生医療の現状については明日にでもご報告します。

 

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