日本毛髪科学協会の認定講師で毛髪診断士の けんぞう です。
今日もご覧になっていただきありありがとうございます。
昨日の東京テレビ・ワールドビジネスサテライト(WBS)をご覧になりましたか?
昨日のWBSの「治る!最前線」のテーマは、
円形脱毛症
でした。
国内の円形脱毛症の患者数は推定で100万人もいると見られており、
円形脱毛症の原因は、
- ストレス
だといわれていたのですが、
順天堂大学の池田志斈教授は、
われわれの研究では円形脱毛症にストレスは関係ない
というのです。
では、円形脱毛症はどうすれば治るのでしょうか?
昨日の番組を見逃したあなたにお教えします。
目次
円形脱毛症の原因は?
円形脱毛症は誰もがなり得る病気で、
このサイトでも、
と、有名人でも円形脱毛症に悩んでいることをお知らせしましたが、
国内の円形脱毛症の患者数100万人もいると推定されているのだそうです。
そして、
というように、
円形脱毛症の原因はこれまでストレスだと思われてきたのですがそうではないことがわかってきたのです。
このサイトでも「円形脱毛症の原因と最新の治療法」や「円形脱毛症の原因と治療法」で円形脱毛症のことを取り上げてきたのですが、
今日の番組は、
治る!最前線 円形脱毛症の最新治療
とのことで興味を持って見たのです。
番組に出たのは、
山下百合子さん(仮名、70歳)で、
長年、頭頂部全体の円形脱毛症に悩まされ、カツラが手放せなかったのだそうですが、
順天堂大学で治療をおこない「カツラが不要になるまでに治った」のだそうです。
SADBEによる局所免疫療法
山下百合子さんが順天堂大学で治療を受けたのは、
局所免疫療法
という治し方だったそうです。
具体的にはSADBEという薬を脱毛した頭皮に塗る治し方なのです。
そうすると一時的にかカブレるのですが、そのカブレが円形脱毛症を治すのだといいます。
円形脱毛症の原因は「自己免疫疾患」。
原因は不明だが自分の免疫細胞が毛根部を異物と見なして攻撃してしまうのが自己免疫という異常なのです。
SADBEで頭皮にカブレをおこさせると、毛根を攻撃していた免疫細胞がカブレの部分に移動してしまい、脱毛が治るのだそうです。
エキシマライトによる紫外線治療
残念ながら、
SADBEによる局所免疫療法は誰にでも効果があるのではなく、
局所免疫療法が有効な円形脱毛症患者は3割だそうです。
田中勇介さん(仮名、30歳)は、
いろいろな治療をおこなってきたが効果がなく、触っただけでぽろぽろと頭皮が抜ける状態だったそうです、、、。
そんな田中勇介さんが浜松医科大学で受け始めた治療は、
エキシマライトという紫外線による治し方です。
紫外線は免疫細胞の活動を抑制することが知られていますが、
エキシマライトという髪の毛を作る毛包にダメージを与えないように、免疫細胞の活性を抑制して脱毛を治してしまおうという方法です。
約30分をかけて頭皮全体に照射するが、
保険が適用されるため治療費は140円程度と非常に安いのです。
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円形脱毛症治療のSADBEとエキシマライトとは
では、円形脱毛症に効果があるというSADBEとエキシマライトとはどのような治し方なのでしょうか?
SADBE療法とは
SADBEとは、squaric acid dibutylesterの略で、squaric acid dibutylesterは日本語ではスクアリン酸ジブチルという物質です。
放送の中では、順天堂大学の池田志斈教授が説明していましたが、
スクアリン酸ジブチルは、皮膚にカブレを引き起こす物質で、
頭皮にカブレを引き起こすことによって毛包に対する自己免疫を抑制するとの考え方による治し方です。
この治療の機序はまだ十分にわかっていませんが、この治療の有効率は60~70%だといわれています。
エキシマライト療法とは
エキシマライト療法というのは、波長が308nmの紫外線を頭皮に照射する治療法です。
同じ治療で、ナローバンドUVBとほぼ同じですが、エキシマライトは小さな部位への照射に向いていてより短時間で照射できる利点があります。
円形脱毛症の他にも、白斑、掌蹠膿疱症、円形脱毛症、乾癬、痒疹、類乾癬などの治療に用いられます。
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日本皮膚科学会の推奨する円形脱毛症の治療法
日本皮膚科学会では昨年秋に、
円形脱毛症診療ガイドライン2017
を改訂しました。
詳しく見る ⇒ 脱毛症診療ガイドライン
このガイドラインでは、
円形脱毛症での治療法を、
- 推奨A : 行うよう強く勧める
- 推奨B : 行うよう勧める
- 推奨C1: 行ってもよい
- 推奨C2: 行わないほうがよい
- 推奨D : 行うべきではない
の5段階で評価しています。
残念ながら、
推奨A:行うよう強く勧めるという
という治療法はなく、
- 推奨B : 行うよう勧める
- 推奨C1: 行ってもよい
しかないのが現状のようです。
「行うよう勧める」として推奨Bに挙げられているのは、
推奨B | ステロイド外用療法 |
推奨B | 局所免疫療法 |
推奨B | ステロイド外用療法 |
の3療法です。
今回ご紹介したSADBE療法は「局所免疫療法」に該当し、日本皮膚科学会が推奨する治療法です。
昨日の放映では、保険適用でき自己負担は140円程度とのことでしたが、
日本皮膚科学会のガイドラインでは、
SADBE あるいは DPCP は医薬品ではなく試薬である。
よって局所免疫療法の費用を保険請求できない。
治療前に十分に効果と副作用について文書で患者に説明し、書面で同意を得ることが望ましい。
とありますから、
SADBE療法を受けるときには費用について確認してください。
「行なってもよい」として推奨C1に挙げられているのは、
- ステロイド内服療法
- 静脈注射によるステロイドパルス療法
- 抗ヒスタミン薬の内服療法
- セファランチン内服療法
- グリチルリチン,グリシン,メチオニン配合錠の内服療法
- カルプロニウム塩化物の外用療法
- ミノキシジル外用療法
- 冷却療法
- 紫外線療法
- 直線偏光近赤外線照射療法
の10療法が挙げられており、
紫外線療法(PUVA 療法・エキシマライト・narrow-band UVB 療法)も、
推奨C1:行ってもよい
とされています。
エキシマライトなどの紫外線療法については、
すべての病型の円形脱毛症の患者に対してエキシマライトまたは narrow-bandUVB 療法を行ってもよい
としており、
エキシマライトでは1 件の非ランダム化比較試験と4 件の症例集積研究により、脱毛範囲が縮小することを示唆する信頼性の弱い根拠が見いだされている。
効果が主に確認されたのは限局型であるが、汎発型の患者でも効果が認められたとする報告もある。
いずれの報告においても大きな有害事象がなく、安全性と利便性が高い点を踏まえ、すべての病型に対してエキシマライトを行ってもよいことにする。
と、記載されています。
行なわない方がよい治療法
さらに、日本皮膚科学会のガイドラインでは、
推奨C2 : 行なわない方がよい
という治療法も挙げています。
これらは、
- シクロスポリン A 内服療法
- 分子標的薬の全身投与
- 漢方薬療法
- 抗うつ薬や抗不安薬の内服
- タクロリムス外用療法
- プロスタグランジン製剤の外用療法
- ビタミン D 外用療法
- レチノイド外用療法
- 催眠療法
- 心理療法
- 星状神経節ブロック療法
- Platelet rich plasma 療法
- アロマテラピー
- 鍼灸治療
と数多くあります。
患者によってはこれらの療法で治療効果がある場合もあるのでしょうが、
日本皮膚科学会のガイドラインの評価では、
有効性に科学的根拠があるか?
という観点で評価しているのです。
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治療を行なわないのも治療の1つ
円形脱毛症に悩む人は推定で100万人と多く、
皮膚科の外来患者の3~5%は円形脱毛症だといわれています。
円形脱毛症の原因については自己免疫疾患ではないかとの考えが固まってきましたが、
しかし、
円形脱毛症における自己免疫の異常を何が引き起こすか?
については未だ不明なことが多く、
円形脱毛症の決定的な治療法がないのが現状のようです。
日本皮膚科学会のガイドラインでは、
治療せずに経過観察のみ行う
についても、
「推奨C1:行ってもよい」
にしています。
軽度の円形脱毛症の場合には1年以内に治るといわれています。
しかし、
円形脱毛症の15~20%は重症に移行する
といわれていますから、異常に気づいたら必ず専門医を受診すべきでしょう。
そして、
20年間の追跡調査では100%が再発する
という報告もありますから、
詳しく見る ⇒ 円形脱毛症の再発を防ぐには
治療を行わずに経過を観察するにしても、
自己判断ではなく専門医の診察を受けるべきなのです。
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