薄毛治療は低出力レザーとLEDのどちらが良いか(その2)
日本毛髪科学協会の認定講師で毛髪診断士の けんぞう です。
今日もご覧になっていただきありありがとうございます。
今年も科学的根拠に基づいた育毛関連の情報をお届けしたいと思います。
目次
はじめに
日本皮膚科学会が2010年に策定した男性型脱毛症診療ガイドラインを改定し、
男性型および女性型脱毛症における診療ガイドライン2017年版
を公表しましたことはご存じだと思います。
詳しく見る ⇒ 日本皮膚科学会はガイドラインを改定
今回の改訂で大きく変わった点は、
- 低出力レーザーとLEDの使用を推奨する
としたことです。
低出力レーザーもLEDもあまり日本では知られていないのですが、
低出力レーザーやLEDの育毛効果には科学的根拠がある
と断定したのです。
実は、私は低出力レーザー・ヘアマックスを使用しているのですが、低出力レーザーもLEDも安いものでは有りません。
では、
低出力レーザーとLEDのどちらを使ったら良いのでしょうか?
先日は低出力レーザーをご紹介しましたが、今回はLEDについて説明したします。
日本皮膚科学会は低出力レーザーとLEDを推奨
日本皮膚科学会は2017年秋に改訂した、
男性型および女性型脱毛症における診療ガイドライン2017年版
の中で、
種々の育毛剤や薄毛治療法について有効性と科学的根拠を精査し、
脱毛症や薄毛の治療法として使用すべきかを、
- 推奨A: 行うよう強く勧められる
- 推奨B :行うよう勧められる
- 推奨C1 :行うことを考慮してもよいが十分な根拠がない
- 推奨C2 :根拠がないので勧められない
- 推奨D :行わないよう勧められる
との5段階で評価したのです。
推奨Aに挙げられたのは、
- フィナステリド(外用) : リアップ
- プロペシア(経口) : プロペシア
- デュタステリド(経口) : ザガーロ
の医療用医薬品の3種類でしたが、
推奨Bとして、
2010年のガイドラインにはなかった、
- LED
- 低出力レーザー
を推奨Bとして挙げたのです。
Sponsored Link
育毛効果があるLEDとは?
日本皮膚科学会が「推奨B」とした薄毛治療のLEDとはどんなものなのでしょうか?
LEDとは「Light Emitting Diode」のことで、日本語では「発光ダイオード」のことです。
ダイオードとは、「二極真空管や二端子半導体素子」の総称で、
2014年に、赤崎、天野、中村氏の3人が青色LEDを発明したとして、ノーベル賞を貰ったことはご存じだとおもいます。
赤色LED、青色LEDに加え、1995年に緑色LEDが登場したことで光の三原色がそろい、LEDのフルカラー化や白色化が現実のものとなりました。
1962年に赤色LEDが、1972年に黄色LED、1985年に桃色LEDが、そして1993年に青色LED、1995年に緑色LEDが開発されましたが、
赤、黄、青の光の三原色が揃ったことで、白色やフルカラー化が現実的になり、
赤崎氏らの青色LEDの発明の意義は大きかったのです。
LEDの照射で育毛が促進する
LEDは、
- 発熱量が低い
- 低電力
- 紫外線を含まない
- 寿命が長い
などと環境に優しいため、照明や信号機などの他にも、スマートフォンのバックライト、ブルーレイなど色々な電子機器に使用されているのですが、
美容や医療の領域でも使われているのです。
赤色LEDには育毛効果がある
赤色LEDは波長が620~750nm程度で、皮膚の奥深くまで届くのですが、
- ミトコンドリアに作用して細胞が活性化する
- 免疫細胞に作用して免疫系を活発化する
などと美容や医療領域での利用や研究が進んでいます。
さらに最近、
赤色LEDには発毛促進効果が有る
ことも明らかになったのです。
赤色LEDの発毛効果について研究をすすめているのは、
大阪大学医学系研究科皮膚・毛髪再生医学寄付講座の板見智教授と乾 重樹准教授で、
NHKのテレビでも紹介されましたからご覧になった方も多いと思います。
詳しく見る ⇒ 赤色LEDは発毛効果があるのか?
その後、大阪大学の板見智教授や乾 重樹 准教授らは、
アデランスの研究グループと、
赤色LEDによる薄毛の育毛治療機器の開発を進めているのです。
青色LEDに育毛効果がある
青色LEDは皮膚の奥までには届かないのですが、
- ニキビの跡の改善
- 細かいしわを除く
- 肌に張りを取り戻す
- 肌のコラーゲン細胞を活性化してシミやしわを除去
- 毛穴の開きなどを改善
などの効果が期待できることから、美容サロンなどで広く使われています。
2017年7 月、(株)ナリス化粧品の研究グループは、
青色LEDに育毛作用があることを発見した
と、第 35回日本美容皮膚科学会において発表し、
優秀演題賞を受賞しています。
詳しく見る ⇒ 青色LEDに育毛効果がある
研究グループによれば、
培養細胞を用いた試験で、
青色LED照射は発毛促進ホルモンであるHGFの発現を促進し、
頭頂部が薄毛の男性に青色LEDを6ヵ月間照射したところ育毛効果が認められたと発表しました。
しかし残念ながら、
ナリス化粧品では青色LEDの育毛機器の開発をおこなうのかは明らかにしていません。
Sponsored Link
アデランスの赤色LEDによる薄毛治療器
大阪大学の板見智教授や乾 重樹 准教授と、アデランスの研究チームは、
2017年11月に、
赤色LEDによる薄毛治療器
を開発発売しました。
詳しく見る ⇒ アデランスは赤色LEDHairRepro LED Premiumを発売
正式な商品名は、ヘアリプロ LED プレミアム(HairRepro LED Premium)というもので、
ヘルメット型をしたプラスチック帽子の本体の内側に、
波長が630nmの赤色LED光源を80個埋め込んだ育毛器なのです。
使用方法は至って簡単で、
- 頭に被ってスイッチをONにする
- 赤色LEDが20分間照射される
- 照射が終了するアラームが鳴る
と、1回の照射は20分で、1週間に1~3回照射するのだそうです。
赤色LED照射による育毛効果は、「アデランスのヘアアプリの効果を調べてみた」でも紹介したのですが、
赤色LEDの育毛効果は、
- 赤色LEDが皮膚を浸透して血行を促進する
- 赤色LEDが毛乳頭細胞の発毛増殖因子の分泌を促進する
ということによるものだとしています。
男性脱毛症患者10名に、
- 1回20分間、週1~3回
- 3~8 ヵ月間
にわたって赤色LED照射おこなったところ、
- ほぼ治癒: 2名
- 著効 : 7名
- 有効 : 1名
と、100%の有効率だったとしています。
日本皮膚科学会では、
LED照射には有用性を示す十分な根拠があり、副作用も比較的軽微であることから、適切な機材を使用して行うよう勧めることにする。
としているのですが、
国内で入手可能なものは、
赤色LEDによるアデランスのヘアアプリしか選択の余地がないようです。
次回は、低出力レーザーと赤色LEDのどちらが良いかを調べてみましょう。
関連記事(一部広告を含む)