日本毛髪科学協会の認定講師で毛髪診断士の けんぞう です。
今日もご覧になっていただきありありがとうございます。
今年も科学的根拠に基づいた育毛関連の情報をお届けしたいと思います。
はじめに
今日は糖質制限の話です。
糖質制限というとダイエットや糖尿病だとお考えでしょうが、
糖質制限は薄毛とも非常に関係があることが分かってきました。
最近、ネット上で、
- 断食で薄毛が治る
- 断食で毛が生える
ということが評判になっています。
どこからこういう話が出てくるのだろうと調べたら、
英国の科学者がこのほど、食事制限により髪の毛が伸びることを証明した。関連研究レポートの概要が、国際的に有名な学術誌「Cell」の姉妹紙「Cell Reports」で発表された。中国新聞網が伝えた。
ということで、人民網日本語版が話の元になっているようです。
このことについては既にこのサイトでもお知らせしたのですが、
今日は、「食事制限と育毛」についてお話しをしたいと思います。
食事制限で毛が生えた
人民網日本語版が伝えたという、
英国の科学者がこのほど、食事制限により髪の毛が伸びることを証明した。関連研究レポートの概要が、国際的に有名な学術誌「Cell」の姉妹紙「Cell Reports」で発表された。
というのは、ちょっと間違いで、
- ブラジルの研究者が、
- 英国の科学雑誌Cell Reportsに発表した
というのが本当です。
ネット上の情報はしばしばこのように間違った形で伝聞形式で広がっていきますから注意が必要です。
ブラジルの研究者が英国の科学雑誌Cell Reportsに発表した論文というのは、
Caloric Restriction Promotes Structural and Metabolic Changes in the Skin.
•Caloric restriction (CR) remodels the skin and fur and expands the local stem cell pool
•CR promotes metabolic reprogramming in both the dermis and epidermis
•CR imposes a thermoregulatory challenge in the absence of fur
•Changes in CR fur are necessary for thermal homeostasis and metabolic fitness
くわしく見る ⇒ コチラ
この論文については1ヵ月ほど前に「断食で発毛するのか薄毛になるのか?」で紹介しましたから既に読んでくださった方もあるかと思います。
簡単に論文の内容を説明すると、
ブラジルのサンパウロ大学の研究グループがおこなった実験なのですが、
マウスをカロリーを60%に制限して飼育したところ発毛が促進された
ということなのです。
具体的には、
マウスを
- 充分なエサを与える
- カロリーを必要量の60%に制限する
という2つのグループに分けて6ヵ月間飼育したところ、
カロリーを60%に制限したマウスでは、
- 体重が1/2に減少
- 皮膚が厚くなった
- 皮膚の血管の長さが伸びた
- 体毛の密度が増えた
- 体毛の長さが伸びた
ということが観察されたというのです。
毛に関しては、
- 体毛の密度が増えて(→ 毛の本数が増加)
- 体毛の長さが伸びた(→ 育の成長が促進)
が観察されてというのです。
研究グループは、
カロリー制限マウスでは皮膚の血管が3倍に増えたことで皮膚細胞の新陳代謝が上がり、
毛を産み出す毛母細胞の元になる毛包幹細胞が増え毛包が増加し毛の成長促進につながった
と考えられるとして、
今回の結果は人間にも当てはまると結論しているのです。
マウスの寿命は長くて1年数カ月ですから、6ヵ月間のカロリー制限は人間では数十年に相当しますし、
体重が1/2の減少したということは人間では生死に関わることです。
カロリー制限により体温が低下し、
それをカバーするために、
皮膚の血流量が増加し、
体毛が増えたということなのでしょう、、、、。
ネット上の多くの情報では、
「研究グループはこの結果は人間にも当てはまると述べている」と締めくくっているのですが、
論文をきちんと読んでみると、
カロリー制限マウスでは嗜眠性で代謝崩壊の徴候を示した
と書かれているのです。
嗜眠性(しみんせい)とは半分寝たような状態ですし、代謝崩壊とは異常事態です。
60%のカロリー制限などしたら死に至るのです。
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炭水化物の制限で髪の毛が生え薄毛が治る
前回はこの論文を元に、「断食で発毛するのか薄毛になるのか?」という話をしました。
というのは、
ネット上では、
プチダイエットで毛が生えた
という多くの情報が有るのです。
育毛のために断食をすべきではない
髪の毛が生えるには多くの栄養が必要です。
髪の毛の伸びるスピードは1日に0.4ミリ程度ですが髪の毛は10万本もあり、
髪の毛を産み出す毛母細胞はがん細胞に匹敵するほどに細胞分裂が激しいのです。
抗がん剤の副作用で脱毛するのは抗がん剤が細胞分裂を止めるから細胞分裂が激しい毛母細胞が影響を受けるのです。
髪の毛が生えるためには多くの栄養が必要です。
育毛剤の多くには血管拡張作用のある物質が含まれています。
大正製薬のリアップなどはその代表ですが、
頭皮の血管が拡張すれば毛母細胞への酸素や栄養素の供給が良くなり、
毛母細胞の細胞分裂が盛んになることから育毛効果があるのです。
薄毛の人では頭皮が硬く血行が悪いことが分かっています。
もちろん、血行が良くなっただけでは髪の毛は生えませんから、
髪の毛が生えるためには良質の蛋白質が必要なのです。
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糖質制限には髪の毛が生える効果がある
糖質制限をご存じですか?
糖質とは、
炭水化物= 糖質+食物繊維
ですから、
糖質制限とは「炭水化物の食べる量を減らす」ということです。
糖質は血糖値を上げますから、糖質制限は糖尿病の食事療法に最適なのですが、
最近は「糖質制限はダイエットに良い」ということで、減量のために糖質制限をしている若い人も多いのです。
糖質制限をすると髪の毛が生えるのです。
それは、
に書きましたので読んでくださったと思いますが、
寄生虫学者の藤田紘一郎さんは重度の糖尿病。
糖尿病を治すために糖質制限をしたところ髪の毛がフサフサになったというのです。
『55歳のハゲた私が76歳でフサフサになった理由』
という本まで出されています。
糖質制限で薄毛が治るワケ
藤田紘一郎さんが、糖質制限で薄毛が治るワケとして上げているのは、
- 活性酸素
- AGE(終末糖化産物)
の2つです。
詳しく読む ⇒ 糖質制限で薄毛が治るワケ
活性酸素は糖尿病の原因の一つですが、活性酸素は薄毛の原因であることはこのサイトでも何回も書いてきました、
活性酸素とは、酸化力が非常に強い酸素のことで、「体をサビつかせる」として老化の原因でもあるのですが、
活性酸素は毛母細胞にダメージを与えて発毛力をダウンさせるのです。
もう一つのAGEは糖化終末産物といわれる物質です。
糖と炭水化物が熱によって変性したものですがですが、
AEGも糖尿病と同時にAGEは薄毛の原因でもあるのです。
糖尿病の人には薄毛が多いと言われるのですが、
炭水化物を制限する糖質制限は糖尿病にも薄毛にも効果があるのです。
髪の毛が生えて薄毛が治ると言って「カロリー制限」や「断食」をしてはいけません。
薄毛や糖尿病に良いのは「糖質制限」です。
しかし、無理な糖質制限は絶対に止めるべきです。
朝食のパンを半分にする
夕食のご飯を半分にする
というような無理のない糖質制限をしてください。
そして、
炭水化物を減らした分だけ魚や肉などの蛋白質をとってください。
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