日本毛髪科学協会の認定講師で毛髪診断士の けんぞう です。
今日もご覧になっていただきありありがとうございます。
今日も科学的根拠に基づいた育毛関連の情報をお届けしたいと思います。
はじめに
9月に入ると早生のミカンが出始めますが、
ミカンの皮にAGAや薄毛に効果がある成分が含まれている
ことをご存じですか?
(株)東洋新薬は、
「紅まどんな」というミカンの皮の抽出物に育毛効果がありその作用を解明したと学会で発表しました。
さらに、最近の研究ではミカンの皮にはAGAにも効果のある成分が含まれることが分かっているのです。
ミカンの皮の育毛効果の作用が判明した
(株)東洋新薬は、愛媛県産業技術研究所との共同研究で、
愛媛県で限定栽培されているミカンの皮の抽出物に育毛効果がある
ことを、
2017年8月27、28日に開催された第34回和漢医薬学会学術大会で発表しました。
愛媛県限定栽培のミカン『紅まどんな』の果皮抽出物が育毛に不可欠な外毛根鞘を保護することを確認したというのです。
プレスリリース ⇒ 東洋新薬
新品種のミカン「紅まどんな」は、
愛媛県が開発して2005年に品種登録したミカンで、
愛媛県内でのみ生産され、糖度や外観など一定の品質基準をクリアしたものだけが「紅まどんな」との呼称で出荷できるのですが、市場に出回る量は少なく、デパートなどで年末贈答用に販売されていのだそうです。
東洋新薬と愛媛県産業技術研究所は、
一般的にミカンの皮には育毛作用があることが知られ育毛剤などに利用されているものの、育毛のメカニズムについては明確になっていないことから、
愛媛県の農林水産物を活用して機能性素材を開発する一環としてミカンの皮の育毛効果を精査したというのです。
研究では、
ヒト由来の外毛根鞘細胞を用い、
その結果、
ミカンの皮には外毛根鞘を保護する作用があることが明らかになったというのです。
外毛根鞘とは、毛包の外側を取り巻く組織で、髪の毛を支えて保護する役割を担っているのですが、
髪の毛を作り出す毛母細胞の元になる幹細胞を供給するという重要な機能も持っているのです。
外毛根鞘に含まれている一部の細胞は後に髪の毛を産み出す毛母細胞に変化することから、この部分が老化したり障害を受けると発毛が低下したり、白髪になったりしてしまうのです。
最近人気が高いビタブリッドCという育毛剤はこの部分のコラーゲン合成を活性化して発毛を促進するといわれています。
また、外毛根鞘に含まれているCD34陽性細胞の量が髪の毛の太さと関係しているということも最近の研究で明らかになっています。
さらに研究グループは、
ミカンの皮の「外毛根鞘細胞を保護する作用のメカニズム」について検討し、
ミカンの皮の抽出物は活性酸素を低下させる
ことが明らかになり、
FGF-7という局所因子の分泌を促進した結果によることを突き止めたのです。
すなわち、
紅まどんなのミカンの皮のエキスは、
- FGF-7の分泌を促進する
- FGF-7は活性酸素を除去する
- 外毛根鞘が血清酸素から保護される
- 外毛根鞘は毛母細胞に幹細胞を供給
- 毛母細胞が活性化して発毛促進
というプロセスが明らかになったのです。
東洋新薬では今後もミカンの皮の育毛活性についてその機能性を探求し商品開発に注力すると述べています。
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ミカンの皮にはAGAに効果がある成分も含まれている
今回の発表は、「紅まどんな」というミカンでしたが、
紅まどんなに限らず、ミカンの皮には育毛効果のある成分が含まれていることが知られており、リーブ21も今月の日本生薬学会第64回年会で発表しています。
詳しく見る ⇒ ユズに育毛効果を発見
今回の発表では、ミカンの皮には「活性酸素除去作用」のあることが分かったのですが、
ミカンの皮の育毛効果のメカニズムについては、
- 血行促進作用
- 毛母細胞の活性化作用
によると報告されています。
ミカンの皮にはリモネンという育毛効果がある成分が含まれているのです。
リモネンはモノテルペンという物質なのですが、である。
精油に含まれる芳香成分の一つです。
つまり、ミカンの皮に含まれる油の中の香りの成分なのです。
リモネンは、ミカンなどの柑橘類の皮に多く含まれる香りの成分で香料や天然物由来の溶剤として利用されています。
台所の洗剤などにもミカンの皮の成分が含まれていますが、これは香りづけだけではなく、油を溶かす性質もあるからです。
リモネンの香りには精神をリラックスさせる作用がありますが、
- 交感神経を活性化させ
- 血管を広げ
- 血流の流れを良くする
ことから、リモネンは多くの育毛剤に含まれています。
リモネンの健康効果としては、
- リラックス効果
- 育毛を促進効果
- 覚醒効果
- 食欲増進効果
- ダイエット効果
- ガンの予防効果
リモネンは5α-リダクターゼを抑制しAGAにも効果がある
リモネンには5α-リダクターゼ抑制作用があり、AGAの原因となるDHTの産生を抑制する作用があるといわれています。
ネットで検索すると、
『北里大学の研究グループは、リモネンが5αリダクターゼを84%抑制したと報告している』ということがたくさん出てくるのですが、
今回、北里大学の研究グループの研究論文を探したのですが、残念ながら見つけることができませんでした。
リモネンには5α-リダクターゼ抑制作用があるとのことなのですが、どのような実験でリモネンの5α-リダクターゼ抑制作用を検討したのか不明です。
今後さらに検索し、見つけ次第報告したいと思います。
以上のように、
紅まどんなというミカンの皮には、髪の毛の外毛根鞘を保護する作用が有り、ミカンの皮の育毛効果についてはさらに一歩、解明が進んだことになります。
ミカンの皮に育毛効果があることは以前から知られており、多くの育毛剤にミカンの皮など柑橘類の皮のエキスが含まれています。
また、ネット上には「ミカンの皮で育毛剤を自作する方法」なども公開されていますが、自作ではアルコール添加やエキスの腐敗による頭皮のダメージの心配もありますので止めた方が良いでしょう。
ミカンの皮と同様に花の抽出物にも育毛効果があることをサントリーの研究グループが明らかにしています。
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