日本毛髪科学協会の認定講師で毛髪診断士の けんぞう です。
今日もご覧になっていただきありありがとうございます。
今日も科学的根拠に基づいた育毛関連の情報をお届けしたいと思います。
はじめに
ハゲに関する遺伝子が見つかったとして大きな話題になっています。
ハゲや薄毛を気にしている人にとっては、“エッツ”というような気持ちでしょう。
しかし、慌ててはいけません。
ハゲが遺伝するということは既に分かりきったことなのです。
今回の報道は、
遺伝に関わっている遺伝子が特定された
ということで、ハゲや薄毛を気にしている人にとって慌てることではありません。
大事なことは、
遺伝するのはハゲ体質だということです。
ハゲ体質でも、適切な処置をすればハゲることはないのです。
ハゲに関する遺伝子が特定された
2017年2月14日に、エディンバラ大学の研究者グループは学術誌であるPLOS Genetics誌に、
男性における薄毛の遺伝子の位置を特定した
との論文を掲載しました。
Genetic prediction of male pattern baldness.
Conclusion
We identified over two hundred independent, novel genetic correlates of male pattern baldness—an order of magnitude greater than the list of previous genome-wide hits. Our top SNP and gene-based hits were in genes that have previously been associated with hair growth and development. We also generated a polygenic predictor that discriminated between those with no hair loss and those with severe hair loss. Whereas accurate predictions for an individual are still relatively crude, of those with a genetic score in the top 10% of the distribution, 58% reported moderate-to-severe hair loss. The release of genetic data on the full UK Biobank cohort will further refine these predictions and increase our understanding of the genetic architecture of male pattern baldness.
全文を読む ⇒ PLOS Genetics
この研究は、
イギリスに住む、40歳から69歳の男性5万2,000人の遺伝子を解析し、
その結果、
- ハゲや薄毛に関与する278に遺伝子を特定した
- この遺伝子を元にハゲを予測するアルゴリズムを開発した
- 男性のハゲに関する遺伝子の多くは母親から受け継いでいる
というのが、研究の主旨なのです。
さらに、
研究グループは、
今回の研究は「はげの形」についてのもので、「いつからハゲるか」というものではないとし、集められたもので、はげ始めた年齢によるものではないとし、
「個人個人のハゲのパターンや時期を正確に予測するというところにはほど遠い」
としています。
今回の発表は、
ハゲに関する遺伝子が特定されたということは、科学的には大きなニュースなのです、
医学的な知識を多少有する私も興味深く論文を読んだのですが、
だからといって貴方のハゲが進むわけではないのです。
さらに、
「ハゲを予測するアルゴリズムを開発した」
ということについては、
- 脱毛がない
- 著しく脱毛する
を識別する予測アルゴリズムも開発したとのことで、
「現在のハゲの遺伝子診断」よりは精度が高くなるかもしれませんが、
「ハゲると予測された」としても適切な処置をしないと何の意味もないのです。
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ハゲは遺伝することはは既に分かってる
今回の論文では、
- ハゲに関する遺伝子が特定された
- ハゲに関する遺伝子は母親から受け継いでいる
というのが骨子です。
ハゲと遺伝については、ハゲは遺伝する確率が高いが予防できるという記事で既にご紹介していますので四でくださったと思います。
ハゲは遺伝する
すでに、
- ハゲは遺伝する
- 母親から受け継いでいる
ということは、既に分かっていたのですが、
ハゲの遺伝にどの遺伝子が関わっているかは不明でした。
今回の研究で、ハゲの遺伝に関わる遺伝子が特定されたということなのです。
M字ハゲといわれる男性型脱毛症(AGA)は遺伝性であることが分かっています。
男性型脱毛症の遺伝は、男性のみに、伴性優性遺伝で受け継がれます。
伴性優性遺伝とは、ハゲは遺伝する確率が高いが予防できるという記事でもご紹介しましたように、
X-linked Recessive(XR)といわれる遺伝形式で、X染色体の遺伝子の異常によって起こる遺伝です。
女性は2つのX染色体を有しており、この両方に異常がなければ発症せず、
男性にはX染色体が1つしかないため、1つのX染色体に異常があれば発症することから、男女に大きな差が見られるのは特徴です。
さて少し難しくなってしまいましたが、
性染色体と言われるX遺伝子は、母親は「X,X」で父親は「X,Y」です。
子供は、「母親からX遺伝子」を、「父親からY遺伝子」を貰いますから、
母親の父親が剥げていたら、子供がハゲる確率は2/3になるといわれています。
このことは、前にも詳しく書きましたので、興味のある方は読んでください。
詳しく知りたい ⇒ 若ハゲは遺伝する
しかし、ハゲは80%が遺伝するとの研究報告もあります。
父親と母親のハゲによって、子供へハゲが遺伝する確率は、
- 父親(ハゲ) x 母親(ハゲ) → 子供がハゲげる可能性 75%
- 父親(ハゲ) x 母親(正常) → 子供がハゲる可能性は 50%
だというのです。
今回のイギリスの研究グループによってハゲに関与する遺伝子が特定されたということですから、
ハゲの遺伝の確率はかなりはっきりする
と思われますが、大規模なゲノム解析や長期の疫学調査が必要でしょうから、数十年後だと思われます。
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ハゲで遺伝するのはハゲ体質
ハゲが遺伝するとしても、
- 生まれたときはハゲていますか?
- 中学生でハゲていますか?
薄毛だ、、、
ハゲてきた、、
と感じるのは、せいぜい、高校生か大学生になってからでしょう。
そうなんです、
AGAといわれる男性型脱毛症は貴方もよくご存じのように、男性ホルモンが関係しているのです。
これも既にご紹介したように、
ドイツのボン大学の研究グループは、40歳ななる前に薄毛になった男性の血液を分析したところ、
X染色体にある男性ホルモンの受容体遺伝子に変異が見つかった
というのです。
男性型脱毛症は、この受容体遺伝子の変異によって男性ホルモンの作用が強く現れ脱毛に結びついていると考えられるというのです。
ハゲが遺伝してもハゲるとは限らない
ハゲが遺伝し、母親の遺伝子の影響があることは間違いないようですが、
ハゲが遺伝してもハゲるとは限らないのです。
これも過去にご紹介した論文なのですが、
2012年にEuropean Journal of Dermatology誌に掲載された、
“Eleven pairs of Japanese male twins suggest the role epigenetic differences in androgenetic alopecia”
という興味深い論文があります。
くわしく見る ⇒ ハゲは遺伝する確率は高いが予防できる
論文では、
20代~40代の一卵性双生児で男性型脱毛症患者(11組、22人)
を追跡調査したのです。
その結果、
双子の髪の毛の量には差がある
ということが分かりました。
双子における髪の毛の量は、すでに初診時に中等度または顕著な差があり、男性型脱毛症は毛量の少ない人ほど早く発症していることが分かったというのです。
この論文では明らかにされていませんが、食事、飲酒、喫煙などが男性型脱毛症の発症に影響を与えているのではないかといわれているのです。
男性型脱毛症の遺伝体質を受け継いでいるのであれば、5α-リダクターゼ抑制作用のある育毛剤を使うのが有効です。
プロペシアは5α-リダクターゼ抑制作用のある医療用医薬品ですが、薬用プランテルやフィンジアは、5α-リダクターゼ抑制作用がある育毛剤なのです。
ハゲの遺伝を受け継いでいるとしても、ハゲるとは限らないのです。
種々の、ハゲの原因となる喫煙、食生活、ストレスなどを見直すと供に、
5α-リダクターゼ抑制作用のある育毛剤を使うことをお薦めします。
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