日本毛髪科学協会の認定講師で毛髪診断士の けんぞう です。
今日もご覧になっていただきありありがとうございます。
今日も科学的根拠に基づいた育毛関連の情報をお届けしたいと思います。
はじめに
プロペシアの副作用については性機能に関する副作用があることが報告されています。
国内のプロペシアの添付文書にも、
勃起不全や性欲減退などの性機能に関する副作用が1~5%の頻度で見られる
と記載されています。
さらに問題なのは、プロペシアの服用を中止してからもみられる副作用です。
この副作用はポストフィナステリドシンドロームといわれていますが、
国内でなぜかほとんど話題に上がりません。
ハーバード大学の研究グループは、プロペシアの服薬を中止した後の性機能への副作用について報告しました。
プロペシアを飲んでいるヒト、これから飲もうとしているヒトは必ず読んでください。
プロペシアの副作用はポストフィナステリドシンドロームが問題
プロペシアの副作用については、添付文書に明記されています。
添付文書とは、薬の販売会社が、医師や薬剤師に対して、その薬の作用や副作用などを記載した文書ですが、患者側の我々が目にする機会はありません。
プロペシアの副作用については、このサイトでも何回も書きましたように、
- 性機能に関する副作用
- 肝機能に関する副作用
があることはあなたもご存じのとうりです。
しかし、問題なのは、
プロペシアの服用を中止してからも副作用が継続する
ことなのです。
これは、
ポストフィナステリドシンドロームといわれています。
フィナステリドは、プロペシアの有効成分である化学物質名です。
海外の報告では、
プロペシアの服用中止後も、
- 肝機能障害
- 性機能障害
など、重篤な副作用が持続するというのです。
詳しく見る ⇒ ポストフィナステリドシンドローム
ポストフィナステリドシンドロームは欧米では多くの論文も見られますが、国内ではなぜか話題に上がらないのです。
しかし、プロペシアを服用しているヒトや、これから飲もうと思っている方は是非とも知っておかなければならないことです。
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ポストフィナステリドシンドロームの新たな報告
ポストフィナステリドシンドロームについては多くの論文がありますが、最近新たな報告がありました。
私は見落としていたのですが、ニューヨークに住む友達がメールで知らせてくれました。
この論文は、
ハーバード大学メディカルスクールのBrigham and Women’s Hospitalやボストン大学医学部の研究者が合同でおこなった研究成果です。
2016年9月にJ Clin Endocrinol Metabに掲載されました。
Characteristics of Men Who Report Persistent Sexual Symptoms after Finasteride Use for Hair Loss.
Conclusions: We found no evidence of androgen deficiency, decreased peripheral androgen action, or persistent peripheral inhibition of SRD5A in men with persistent sexual symptoms after finasteride use. Symptomatic finasteride-users revealed depressed mood and fMRI findings consistent
with those observed in depression.
詳しく見る ⇒ 原著論文(英文)
この研究は、
プロペシアの服用中止後にも性機能やその他の機能に障害があるポストフィナステリドシンドロームの原因が末梢組織における男性ホルモンの欠乏によるのか、
あるいは2型5α-リダクターゼの抑制によるのかなどを明らかにすることを目的におこなわれまたものです。
研究対象は、
プロペシアを服用し、中断後にもEDなどの性機能不全の副作用が持続している男性です。
対象者を3群に分け、
- 第1群 : プロペシアの服用を中止してもEDの副作用がある者 (25名、平均年齢35.7歳)
- 第2群 : プロペシアを服用し中止したがEDの副作用がない者 (13名、平均年齢37.0歳)
- 第3群 : プロペシアの服用経験がない健康な者 (平均年齢36.8歳)
なお、第1群と第2群におけるプロペシア服用者では、
- 服用量は1.0mg
- 服用期間は6ヵ月~7年で平均服用期間はおよそ3年
- 服用中止後の経過年数は約3年
この被検者について、
- テストステロン(男性ホルモン)
- DHT(ジヒドロテストステロン)
- LH (黄体化ホルモン)
- FSH(卵胞刺激ホルモン)
- エストラジオール(女性ホルモン)
- SHBG(性ホルモン結合グロブリン)
などのホルモンの測定と、
- アンドロゲン受容体
- 前立腺ステロイド代謝酵素(5aリダクターゼ)
などの検査と、
- 勃起不全(ED)を国際基準で判定
を検査したのです。
その他も、AGAの遺伝子検査など多くの検査が行われていますが、記載は割愛しました
その結果、
- 全てのホルモン値には3群間に差がない
- アンドロゲン受容体や5aリダクターゼに差は無
しかし、
3. 第1群ではED指標が有意に高い
4. 第1群ではうつ症状がある
ということも分かったのです。
さらに、
fMRI という、核磁気共鳴装置に類似した、脳や脊髄の活動に関連した血流動態反応を視覚化する装置で、
第1群では視覚的に性的刺激を与えたときの脳の血流量変化が少ない
ということが分かったのです。
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今回の研究で明らかになったことは、
- プロペシアを服用しても服用を中止すればホルモンなどへの影響はみられない
- プロペシアの服用を中止してもED症状が持続する患者がいる
そして、
- プロペシアの服用を中止してもEDが続く患者では性的刺激に対する脳の血流量が少ない
- プロペシアの服用を中止してもEDが続く患者ではうつ症状が強い
ということです。
ハーバードメディカルスクールなどの研究者らが至った結論は、
今回の結果がホルモンの影響だとは断定しがたい。
プロペシアの服用中止後もEDが続く群ではうつ症状が強いがこれはAGA脱毛症による気分の落ち込みなのか、プロペシアの服用によるのか不明で、性的刺激に対する脳の血流量の低下もうつ症状によるのかフィナステリドシンドロームによるのか判定できない
ということでした。
やや難しく、測定パラメーターも非常に多く難解な論文で、充分に解説できませんでしたが、再度、査読して訂正追加しておきます。
いずれにしても、プロペシアの服用を中止した後に3年経過してもED症状が持続するということは怖いものです。
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