髪の毛のベタツキは脂漏性皮膚炎の可能性がある
日本毛髪科学協会の認定講師で毛髪診断士の けんぞう です。
今日もご覧になっていただきありありがとうございます。
今年も科学的根拠に基づいた育毛関連の情報をお届けしたいと思います。
目次
はじめに
髪の毛や頭皮がベタツクといって洗いすぎは厳禁です。
頭皮や髪の毛のベタツキは皮脂によるものですが皮脂は髪の毛や頭皮の保護材なのです。
髪の毛や頭皮の保護材を取り除くと脂漏性皮膚炎の危険があります。
夏に気になる髪の毛や頭皮のベタツキ
先日、「夏に有効な5つの薄毛対策とは」について書きましたが読んでくださったでしょうか?
夏に行うべき5つの薄毛対策は、
- 紫外線を予防する
- 海水やプールの塩素から守る
- 頭皮を清潔にする
- クーラーの冷すぎに注意
- 睡眠を充分取る
でしたが、夏休み中は守っていただけたでしょうか。
夏から秋にかけては抜け毛の多い季節です。
夏の抜け毛対策次第で、これからの抜け毛が多いか少ないかが決まり増すから、しっかり守ってください。
ところで、
暑さで汗をかきやすい夏には頭皮の状態を気にする人が多いのですが、あなたはいかがでしょうか?。
夏に頭皮が気になるのは、
- 頭皮のベタツキ
- 髪の毛のベタツキ
です。
汗や皮脂が抜け毛の原因ではない
「頭皮がベタツク」、「髪の毛がベタツク」といって、やたらに洗髪を繰り返す人がいますが、汗や皮脂が抜け毛の原因になるわけではありません。
汗はともかく、皮脂は髪の毛や頭皮を守るために分泌されるもので、皮脂が抜け毛の原因になるわけではありません。
皮脂は、頭皮にある皮脂腺から分泌され、
- 髪の毛の表面を被いキューティクルを守る
- 頭皮の表面を被い乾燥から守る
汗が不潔、髪の毛がベタツクといって1日に何回も洗髪したり、
洗浄力が強いシャンプーで乱暴に洗ったりすると、皮脂が洗い流されしまい、髪の毛や頭皮のバリアー機能が弱まり、
かえってフケを増やしたり、頭皮の炎症を起こしてしまったりする可能性が大きいのです。
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脂漏性皮膚炎とはなにか?
皮脂は皮脂腺で作られます。
皮脂腺は毛のある場所には必ずあります。
毛根の浅いところの毛孔の近くに開口してして皮脂を分泌しています。
口唇、まぶた、さらには、陰茎の包皮、女性の大陰唇には毛と関係なく皮脂腺があります。
頭、顔面、特に鼻、あご、額などの皮脂腺は男性ホルモンの影響を受けて大量の皮脂を分泌するため思春期にはニキビの原因になることも多いのです。
髪の毛のベタツキは脂漏性皮膚炎かも知れない
髪の毛や頭皮がベタツクという人は脂漏性皮膚炎かも知れません。
脂漏性皮膚炎は、湿疹の一つで脂漏性湿疹とも呼ばれ、皮脂腺が多く皮脂の分泌の多い頭皮や顔の鼻の周りや耳の後ろ、脇の下などで見られる湿疹です。
痒みを伴い、赤くなったり、皮膚が荒れてカサついたり、ベラベラと剥がれる場合もあります。
頭皮の脂っぽいフケ症は、脂漏性皮膚炎の初期症状なのです。
皮脂の分泌には上に書きましたように、男性ホルモンが関与していることから、脂漏性皮膚炎は男性に多いと思われがちですが、女性に生じることも少なくありません。
皮脂分泌が多い思春期の子供でも発症頻度が高いのですが、成人でも年齢や気候によって皮脂の分泌量が変化することや、ストレス、生活習慣の乱れ、ホルモンのバランスの乱れなどの体調の変化によっても皮脂分泌が変わることから、成人や高齢者でも脂漏性皮膚炎が起きる可能性は高いのです。
また、男性では皮脂の分泌量は加齢によっても余り減少しませんので、高齢者でも脂漏性皮膚炎が多く見られます。
夏に髪の毛や頭皮が脂っぽく、ベタツクのは、気温が高く、頭皮の温度も高くなることや汗の量が多くなるため、皮脂と汗が混じって頭皮や髪の毛にくっつきやすくなるためです。
脂漏性皮膚炎にはマラセチア菌も関与
脂漏性皮膚炎にはマラセチア菌も大きく関与しています。
マラセチア菌は、マラセチア属真菌といわれカビの一種です。
カビと言えば水虫を思い浮かべますが、水虫の原因菌である皮膚糸状菌(白癬菌)とは異なるカビで、酵母真菌と言われて私たちの皮膚に常在している菌です。
皮脂腺の皮脂の成分はワックスエステル、トリグリセリド、などですが、マラセチア菌はリパーゼという脂肪を分解する消化酵素を分泌し、皮脂を分解して栄養源にして生存しているのです。
マラセチアが皮脂を分解したときに生じる遊離脂肪酸が皮膚に炎症を起こし、脂漏性皮膚炎を発症させたり悪化させると考えられていますが、脂漏性皮膚炎のメカニズムは十分に分かっていないのが現状です。
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髪の毛がベタツクといって洗いすぎは厳禁
髪の毛がベタツクといって1日に何回も洗髪するのは逆効果です。
汗や皮脂が脱毛の原因になることはありません。
むしろ、皮脂を洗いすぎることによって頭皮や髪の毛を傷めてしまうことの方が問題です。
脂漏性皮膚炎と同様に、頭皮の乾燥により、粃糠性(ひこう性)脱毛症を起こしてしまう可能性があります。
粃糠性脱毛症とは、大量に発生したフケが毛穴に入り込み、さらにマラセチア菌などの繁殖によって炎症を引き起こし、髪の毛の成長を妨げるために抜け毛が増える脱毛症です。
粃糠性脱毛症の原因も、脂漏性皮膚炎などと同じく頭皮の乾燥が原因の一つであると言われています。
脂漏性皮膚炎も粃糠性脱毛症も、いくら洗髪しても治ることはありません。
- 頭皮が痒い
- 髪の毛がベタツク
- フケが多い
という症状が続くときには必ず皮膚科を受診してください。
皮脂の分泌が多いときには脂漏性皮膚炎になりやすいのですが、
脂漏性皮膚炎や粃糠性脱毛症ではマラセチアの過剰繁殖を抑えるために、
- 炎症を抑えるステロイド薬
- 塗り薬やローションタイプの抗真菌薬
を使う必要があるのです。
また、皮脂の分泌を調整するために、
- ビタミンB2
- ビタミンB6
などの内服薬を処方する場合があるようです。
脂漏性皮膚炎を放置して粃糠性脱毛症に至ることもあるようですから、早めに皮膚科を受診する法が賢明です。
アルコール含有の整髪料や紫外線にも要注意
洗髪の後の整髪料の使用はスーッとして、夏の暑い日には気持ちの良いものです。
しかし、このスーッは、アルコール(エタノール)によるものです。
アルコールは皮脂を溶かし、皮膚の水分を蒸発させる作用があることから、スーッとして夏の暑い日には気持ちの良いものですが、結果的には皮脂が失われ、頭皮が乾燥してバリアー機能が衰え、炎症などの原因になるのです。
顔には保湿クリームを塗る
のに、
頭皮や髪では保湿の皮脂を取り去る
こんな矛盾を行っているのです。
夏に有効な5つの薄毛対策とはでも書きましたように、紫外線は頭皮や髪の毛に大きなダメージを与えます。
- 顔や腕には紫外線対策をする
- 髪の毛や頭皮には紫外線対策はしない
ここでも非常な矛盾をしているのです。
髪の毛や頭皮がベタツクといって洗いすぎは厳禁です。
頭皮や髪の毛のベタツキは皮脂によるものですが皮脂は髪の毛や頭皮の保護材なのです。
髪の毛や頭皮の保護材を取り除くと脂漏性皮膚炎の危険があります。
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