日本毛髪科学協会の認定講師で毛髪診断士の けんぞう です。
今日もご覧になっていただきありありがとうございます。
今日も科学的根拠に基づいた育毛関連の情報をお届けしたいと思います。
はじめに
NHKニュースによれば、横浜国立大学の研究グループが毛包の再生に成功したとのことです。
3年後を目処に、人間の毛包の再生を行い、成功すれば頭髪の再生医療も可能になるそうです。
頑張れ、横浜国立大学の研究グループ。
横浜国立大学が毛包の再生に成功
2016年4月30日の朝のNHKニュースで、
横浜国立大学の研究グループが、マウスにおいて毛髪の再生医療に成功した!
とのニュースです。
横浜国立大学の福田淳二らの研究グループは、
髪の毛を作り出す「毛包」と呼ばれる器官を大量に作り出すことに成功し、
マウスを使って実験でマウスの背中に毛を再生することに成功したというのです。
毛包というのは、頭皮の毛穴の奥の毛根部分の毛球部部分の組織のことです。
ここには、毛母細胞と毛乳頭といわれる細胞があり、毛乳頭が毛母細胞に刺激を送り、毛母細胞が細胞分裂を繰り返すことで髪の毛が生み出されるのです。
毛母細胞は身体の中で最も細胞分裂が盛んなところで、1日に髪の毛の伸びる速度は0.3~0.4ミリですが、髪の毛は10万本もあり、合計では1ヵ月に1,200メートルも伸びるのです。
横浜国立大学の福田氏らの研究グループは、
- マウスの胎仔から、
- 2種類の細胞を取りだし、
- シャーレで培養し、
毛包を作り出すことに成功したということです。
さらに、
- 作り出した毛包を、
- マウスの背中に埋め込んだところ、
- 長さ1センチほどの毛が生えてきた
ということです。
この毛包部では、毛サイクルという、毛が生え替わるサイクルが働き始めたことも確認できたということです。
Sponsored Link
10年後には毛髪の再生医療が可能に?
実は、この横浜国立大学の毛包の再生医療の研究成果は、2016年2月22 日に日本経済新聞でも報道されています。
出展:横浜国大、毛を生む器官を大量培養 脱毛症の再生医療に道 (日本経済新聞)2016/2/22 1:29日本経済新聞 電子版
横浜国立大学の福田淳二准教授と景山達斗特別研究員らは、毛髪を生み出す「毛包」と呼ぶ器官を大量に再生する実験にマウスの細胞で成功した。毛の生え替わりにかかわる2種類の幹細胞を混ぜて、培養皿に幾つも設けた小さなくぼみの底で数日かけて毛包に似た器官に育てた。数百個単位をまとめて作れ、ヒトに応用できれば脱毛症の再生医療に道を開く。
今回のNHKの報道内容は2月22日の日本経済新聞の報道とほぼ同じで進捗は見られなく、何故、NHKが本日の朝に報道したのかは不明です。
このサイトでも、横浜国立大学の研究については今回が初めてですが、2月22日の日本経済新聞の報道では、「マウスの胎仔から取り出した2種類の細胞」と記載され、その細胞についての説明がなされていなかったからです。
胎仔の細胞ということで、何らかの幹細胞であるのだろうと思われるが、人間での実用化に際してはどのような細胞を使うかが不明だったからなのです。
再生医療では、
- 幹細胞 :生物の骨髄などにある万能細胞
- ES細胞 : 受精卵が有する発生段階の万能細胞
- iPS細胞 : 体細胞を転写因子で幹細胞化した細胞
のいずれかを用いる必要があるのだが、横浜国立大学の今回の研究では2のES細胞に近い細胞を用いている。
福田氏らの研究グループは、「人間の毛包の再生を試み」と述べているのだが、ヒト胎児の細胞を用いることは倫理上許されておらず、それではどのような幹細胞を用いてヒトの毛包の再生を行うのかについて、具体的説明がなされていないのです。
しかし、横浜国立大学グループは、
- 3年を目処にヒトの細胞でも毛包の再生を行う
- 3年以内に臨床研究を開始する
- 10年後には脱毛症などでの再生医療を可能にする
との研究目標を挙げており、大いに期待したいものです。
Sponsored Link
関連記事(一部広告を含む)