亜鉛は生命の源です。
地球には,100種類を超える多数の元素があります。元素とは物質を構成する最小単位ですね。
元素は,構造も,分子量も,はたらきもさまざまですが、微生物をはじめ植物や動物,
そして人間が生きていくために,必須の元素があり、その中の一つが亜鉛なのです。
亜鉛は,学校で元素番号がZnだと教わったことを憶えているでしょうか。
人間のからだにも亜鉛は微量ながら含まれており,鉄や銅などとともに,生体内必須微量元素とよばれます。
亜鉛は、酵素や蛋白質の合成,味覚,インスリン生成,免疫賦活、生殖機能などに重要な役割をはたしており、欠くべからざる元素なのです。
亜鉛は私たちの身体に微量ながら含まれるとは言いましたが、身体に含まれる重金属としては鉄に次いで2番目に多いのです。
生体の重金属ベスト3
- 鉄 4.5g
- 亜鉛 1.4~2.3g
- 銅 0.1~0.15g
私たちの体内にはおよそ1.4 g~2.3g、体重が70kgの成人では平均2g近く亜鉛が含まれています。
亜鉛は体内で作ることが出来ず、食物として摂取し、消化管から吸収された後は蛋白質と結合して血中や各組織に存在しています。
亜鉛の90%は骨や筋肉中に存在し,組織では男性の前立腺にもっとも多く含まれています。
そのほかでは,腎臓,肝臓,心臓,大動脈,甲状腺などにも多く含まれ,主に細胞分裂が盛んで代謝の盛んな臓器に多く存在しているのです。
目次
どうして亜鉛が必要なのか
亜鉛が少なくなると味覚障害を起こすと言うことを知っている方は多いと思いますが、その作用は余り知られていません。
上に書きましたように、亜鉛は体内のいたるところで働いている元素で、効果や効能も多岐に亘っているのです。
酵素の活性化
私たちの体内には多くの酵素がありますが、亜鉛は300種類の酵素を活性化します。
細胞分裂や新陳代謝
細胞分裂において亜鉛が不足するとDNAが正しく分裂できなくなります。
活性酸素の消去
亜鉛はSODという抗酸化酵素を作り、活性酸素を除去します。
活性酸素は体をサビつかせ、種々の疾患の原因になりますが、活性酸素は薄毛の原因でもあるのです。
胎児の成長
妊娠中には胎仔のために大量に亜鉛が必要です。
精子形成
精子の形成や運動に不可欠でアメリカでは亜鉛はセックスミネラルと呼ばれています。また女性の卵巣の卵子形成でも不可欠です。
アルコール分解
アルコール脱水酵素がアルコールを分解するときに亜鉛が必要です。
免疫力を高める
免疫細胞を活性化する働きがあり、亜鉛の摂取で風邪を引きにくくなるというデータもあります。
味覚
亜鉛は味覚細胞の形成にかかわっています。そのため亜鉛不足になると味覚異常になります。
穏やかな気持ちにする
脳内にも亜鉛は多く存在し、記憶や精神の安定に関わっています。
血糖低下
糖代謝に関与するインスリンを作るために亜鉛は不可欠です。
成長
細胞分裂が活発な成長期の子供には亜鉛は不可欠。亜鉛が不足すると身長,体重が正常に増加しない成長遅滞になってしまいます。
徳島大学の研究グループは、亜鉛がどうして育毛に必要なのかを解明しています。
詳しく見る ⇒ 亜鉛が薄毛に効果がある理由が分かった
医薬品としての亜鉛
亜鉛は医薬品としても活用されています。
古くは亜鉛華軟膏で、亜鉛が皮膚の新陳代謝に作用し、創傷を修復する作用を活用しているのです。
そのほかにも、局所収れん作用、保護作用、緩和作用、消炎作用、防腐作用および軽度の腐食作用を示します。
亜鉛を傷口や潰瘍部に塗布すると、受傷部位が乾燥して細菌増殖が抑制されます。
ゼリア新薬工業のプロマックという医薬品も有名です。
胃潰瘍治療薬で、成分はポラプレジンクという、亜鉛の前駆体です。
プロマックは体内で亜鉛とアミノ酸に解離し、亜鉛が胃潰瘍部分に集積して潰瘍を治すのです。
[製 品 概 要]
< 販 売 名 > プロマックD錠75(洋名:Promac D Tablets 75)
< 一 般 名> ポラプレジンク(洋名:Polaprezinc)
< 剤 型 > 素錠(口腔内崩壊錠)
< 承認年月 > 2006年 2 月
< 薬価基準収載年月日 > 2006年7月7日
< 薬 価 > 1 錠 49.30円 / 1 日薬価 98.60円
*参考:「プロマック顆粒15%」1g88.00円/1日薬価88.00円
< 販売開始日 > 2006年 7 月 7 日
< 製造販売元 > ゼリア新薬工業株式会社
< 組成・性状 > 1錠中の有効成分 ポラプレジンク75mg
< 効能・効果 > 胃潰瘍
< 用法・用量 > 通常、成人にはポラプレジンクとして 1 回75mgを1日 2 回朝食後及び
就寝前に経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
<用法・用量に関連する使用上の注意>
本剤は口腔内で崩壊するが、口腔粘膜から吸収されることはないため、唾
液、又は水で飲み込むこと。
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髪の毛に対する亜鉛の効果
亜鉛は身体の様々なところで重要な働きをしていますが、気になるのはやはり髪の毛に対する効果です。
亜鉛はケラチンの合成で不可欠
髪の毛はその97%が蛋白質で作られています。
実に髪の毛は蛋白質の塊なのです。
そして、髪の毛の蛋白質の99%はケラチンという蛋白質なのですが、亜鉛は蛋白質をケラチンに再構成する働きがあります。
亜鉛が不足すると良質な蛋白質をたくさん摂っても髪の毛が作られなくなり髪の成長は止まってしまうのです。
亜鉛は5α-リダクターゼを抑制する
AGAの原因は、男性ホルモンであるテストステロンが5α-リダクターゼによってジヒドロテストステロン(DHT)の変化されるのですが、DHTが発毛を抑制してしまうのです。
亜鉛には5α-リダクターゼ抑制作用があり、AGAの原因であるDHTの産生を抑えるのです。
亜鉛不足の髪の毛に対する影響
亜鉛不足になると、
- 抜け毛が増加する
- 白髪が増加する
- 髪の毛が細くなりコシがなくなる
などの症状が見られます。
亜鉛を多く含む食品
通常、私たちは意識しないでも1日の食事から10~20mgの亜鉛を摂っていると言われています
亜鉛の吸収部位は十二指腸ですが、吸収率は5~10%、あるいは20~40%と報告者によりさまざまですが、おおよそ30%程度で吸収率は低いと見られています。
鉛は,私たちの体内でつくることはできませんので、食品から摂取することが必要です。
レトルト食品やインスタント食品ばかり食べていると亜鉛は不足してきます。
各食品の100g中の亜鉛含有量は,下記の通りです。
亜鉛は肉類から穀物、野菜と色々な食品に含まれています。
中でも亜鉛を多く含む食材は、
- 牡蠣
- 牛肉
- 鶏肉
- 豚肉
- 卵
- ごま
- ココア
- のり
- ワカメ
- 昆布
- カニ
- スルメ
- 白米
- 納豆
- ブロッコリー
- レバー
などです。
特に亜鉛が多く含まれるのは牡蠣ですが、毎日は食べませんね、、。
日常的に食べる食材で亜鉛の含有量が多いのは のり です。
また、ワカメやコンブにも多く含まれますから、“ワカメやコンブは髪にいい食べ物” といわれているのでしょう。
亜鉛はビタミンCと同時に食べると吸収率が良くなる性質があるので食べ合わせの工夫も必要です。
牡蠣にレモン汁をかけるのは良い組合せです。
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