日本毛髪科学協会の認定講師で毛髪診断士の けんぞう です。
今日もご覧になっていただきありありがとうございます。
今日も科学的根拠に基づいた育毛関連の情報をお届けしたいと思います。
はじめに
2015年2月10日にファイザー社は、
「男性型脱毛症治療薬である「フィナステリド錠」の後発医薬品の製造販売について国内で初めて承認を取得した」
と発表しました。
いよいよ、国内でプロペシアのジェネリックが発売されます!
でも、発売は4年先のようですが、、、
詳しく見る >>> プロペシアのジェネリックをファイザーが発売
しかし、以外にも2015年4月に発売されました、、
(詳しくは下記の記事をご覧下さい)
MSD社はプロペシアのニセモノに注意勧告
国内でのプロペシアのジェネリック発売はファイザーが初めてです!
しかし、国外では「プロペシアのジェネリックと称されるもの」がたくさん販売されているようです。
プロペシアの国内における製造販売会社はMSD社(旧;万有製薬)ですが、
MSD社では、
「プロペシアのニセモノに注意」という勧告を出しています。
プロペシアのニセモノとはどんな製品なのでしょうか、
プロペシアのニセモノとは?
- 薬効成分(フィナステリド)が全く含まれていないもの
- 過剰な薬効成分が含まれるもの
- 薬効成分が少なすぎるもの
- 錠剤自体にコンタミネーション(雑菌などの混入)の可能性があるもの など
MSD社によれば、
下記の写真のようなニセモノが海外で出回っており、それ以外にも区別できない偽造品がある可能性が高いのだそうです。
詳しく見る >>> プロペシアのニセモノに注意
一方、世界保健機構であるWHOの発表によると、
世界で流通している医療用医薬品の、なんと約10%がニセモノだと推測されるのだそうです(2003年 BMJ 327 news roundup)。
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プロペシアにまだジェネリックは無い
国内でも「プロペシアのジェネリック」と称されるものの広告を良く目にします。
プロペシアは国内では医療機関で受診を受けなければ処方されないのですが、
「個人輸入」という形で海外から「プロペシアのジェネリック」を輸入して服用している方が100万人いるともいわれています。
海外からの「プロペシアのジェネリック」の個人輸入では医療機関から処方して貰うよりも格安で入手できるとして個人輸入業者に入手を依頼する人が後を絶たないのです。
しかし、
プロペシアのジェネリックはまだどこの国でも発売されていない
のです。
(2015年4月に国内でファイザー社が発売しました)
医薬品の個人輸入代行会社では、「フィンペシア」を「プロペシアのジェネリック」として宣伝していますが、
「フィンペシア」や「フィナックス」はプロペシアのジェネリックではないのです。
ジェネリックとは、先発品の特許が切れてから他社が発売する「同じ有効成分を含む製品」を指します。
医薬品には様々な特許があり、開発会社の権利が保護されています。
プロペシアは国内におけるMSD社の商品名で、その有効成分はフィナステリドという化学物質です。
フィナステリドの特許は、MSD社の米国本社であるメルク社が所有しています。
医薬品には多くの特許があるのですが、主要なものは、
- 物質特許
- 用途特許
- 製造特許
です。
- 物質特許は : 「フィナステリドはメルク社のものであり勝手に製造販売してはいけない」という特許です。
- 用途特許は : 「フィナステリドはAGAに有効だ」という特許です。
物質特許の期間は通常は20年で、その間は勝手に製造販売してはいけないことになっているのです。
医薬品の特許は非常に多岐に亘り、正確に全てを把握することは非常に難しいのですが、メルク社のフィナステリドの物質特許は、2014年に終了し、特許期間満了日は特別追加期間の5年間を経過した、2019年10月ではないかと予測されています。
メルク社の特許が切れるまで、どの製薬会社も勝手にフィナステリドを製造してAGA治療薬として販売することは禁じられているのです。
ですから、ファイザー社が国内でプロペシアのジェネリックを発売するのは2019年10月以降ではないかと見られていましたが、、、。
ファイザーは2015年4月6日に、『フィナステリド錠・ファイザー』を発売したのです。
詳しく見る >>> ファイザーがプロペシアのジェネリックを発売開始
インドの製品はジェネリックでは無い
インド、中国、台湾などは医薬品の国際特許法に加盟していないために、フィナステリドを勝手に作って販売しているのです。
それが、「フィンペシア」や「フィナックス」であり、プロペシアのジェネリックではないのです。
これらの製品の安全性については厚労省では安易な個純輸入について注意勧告を出しています。
詳しく見る ⇒ 個人輸入において注意すべき医薬品等
「フィンペシア」や「フィナックス」などはこのリストに含まれていませんが、個人輸入代行会社では、「インドのジェネリック薬品大手のランバクシー・ラボラトリーズが製造する製品だから安全だと安心感を誇張していますが、親会社である第一三共は2014年春にランバクシー・ラボラトリーズの実質売却を決めています。
その理由は、
ランバクシーの主力2工場の品質問題が発覚し、米食品医薬品局(FDA)から米国への製品輸出禁止措置を受けたことがその根底にあり、インド、中国、台湾の製造会社による製品は安全面において非常に不安なのです。
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ジェネリックの安全性について
インド、中国、台湾の製造会社による国際特許法則っていない製品は別問題として、ジェネリックの安全性について調べてみましょう。
ジャネリックは数十年前にブームになったことがあります。
その当時は、「後発品」、「ジェネリック」という言葉は一般的でなく、「ゾロ品」と呼ばれていました。
「ゾロ品」とは、先発品の特許が切れてから、ゾロゾロと出てくることからその様に呼ばれ、低価格であることからブームになったのですが、品質上の問題や安定供給の問題から、「ゾロは粗悪品」としてゾロの時代は終焉したのです。
近年、政府のジャネリック振興政策によって再びジェネリックが復活してきました。
近年のジェネリックは、大手製薬企業も製造販売しているものもあり、かつてのような粗悪製品ばかりではありません。
しかし、
ジェネリックは先行品と同じ有効成分を含んでいるものの、
- 先行品とジェネリックの質は同じではありません
- 薬の効果に相当な差がある可能性もあります
- ジェネリックでは新たな副作用のある可能性を否定できません
ジェネリックはテレビのコマーシャルで宣伝しているような、
「有効成分、効果が同じ」
ということではないのです。
医薬品は有効成分の含量だけではない
物質特許が切れれば、同じ化学物質を誰でも作ることが出来ます。
しかし、製造法には様々なノウハウがあり、先行品と全く同じものを作り出すことは非常に困難です。
さらに重要なことは、有効成分を含んだ錠剤を作り出す技術です。
プロペシアは1錠中に1mgのフィナステリドを含んでいますが、錠剤自体の重さは0.2g程あります。つまり、1錠中にはフィナステリドの200倍の量の添加物が含まれているのですが、この添加物は、
- フィナステリドを安定に保つ
- フィナステリドの吸収を良くする
- フィナステリドを消化液や酵素から守り体内に吸収させる
- フィナステリドの変性を防ぐ
などの重要な役割を果たしているのですが、これらは「製剤特許」という特許に守られており、もし、製剤特許が切れていなければ、同じような添加物を加えることができないのです。
薬の添加物が変われば有効成分がどのように溶けていくか、どれくらいの速度で体内に吸収されていくかが変わってしまいます。
さらに、薬には錠剤、カプセル、粉状などさまざまな形がありますが、同じ錠剤だとしても、コーティングの仕方や内部構造などでそれぞれ異なってしまいます。
薬の添加物や剤形が変わると、有効成分の溶け出す速度が変化したり、有効成分が分解されやすくなったりしてしまうのです。
有効成分の溶け出す速度が遅かったり速かったりすれば、「薬の効きすぎ」、「効果が出にくい」ということが生じます。
薬の効きすぎと言うことは、その分だけ副作用も出やすいということで、効果が出にくいということは薬を服用しても症状は改善しないということです。
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医者はジェネリックを飲まない
政府は医療費削減政策の一環として、ジェネリックの使用を推奨しています。
医者や薬局ではジェネリックの処方を積極的に進めている(所も有る)ようですが、肝心の医者はどのように考えているのでしょうか?
メドピア株式会社は、医師約70,000人以上が参加する医師専用サイト「MedPeer」を運営していますが、2014年6月に会員医師を対象に「ジェネリック医薬品の服用」についてのアンケート調査を実施しています。
その結果(回答数3,821件)によると、
「状況に応じて服用している(服用してもよい)」と回答したのは59.4%でしたが、
- 製造メーカーによって使い分けている
- 薬の種類によって使い分けしている
という答えが多く、鎮痛剤、胃薬、降圧剤、感冒薬、ビタミン剤なであればジェネリックを服用するという回答でした。
すなわち、医者は高血圧など心臓循環器系や糖尿病、肝臓腎臓関係の薬、癌治療薬などについてはジェネリックを服用しないということです。
医師がジェネリックを服用しない理由
ジェネリックを服用しないと答えた理由は、
- 細かく、メーカーを考えれば信用できるジェネリックもあるが、そこを、選択するのが面倒
- 基本的には先発品を服用。後発品の全てが悪いわけではないが、効果が違うことを感じている。
- 今のジェネリック医薬品の添加物、安定性、力価等に対して信頼がないので服用しない。
- ジェネリックで不調になった患者さんを数人経験するとジェネリック服用は嫌になります。
- 主成分は同じでも副成分は異なる。単発で継続しないものなら服用してもいいかも。
- 患者さんが薬局で変更して効果が減弱したことを経験しているので服用しない。
なんと、、、
医師もジェネリックの効果や副作用について不安を持っているのです。
医師の不安は薬剤情報の不足
医者や医療知識を持つ方は、ジェネリックについて不安を持っているのですが、なぜなのでしょう、、、
ジェネリックの承認では、
- 「有効性試験」はある
- 「安全性試験」はない
ということからきているのです。
ジェネリックの承認においては、安全性試験成績の提出は必要ないのです。
通常の医薬品には、
- 変異原性試験
- 癌原性試験
- 急性毒性試験
- 亜急性毒性試験
- 慢性毒性試験
など、試験管内での試験、動物での試験、人間での試験など、多くの安全性試験が義務づけられているのですが、
ジャネリックでは、「有効性の試験」は義務づけられているのですが、「安全性の試験」の実施は必要ないのです、、、
そのため、安全性のデータは存在せず、その製品に対する安全性試験情報量が非常に少なく、医療関係者を不安がらせている原因の1つなのです。
さらに、有効性の試験に関しても、ヒトにおける臨床試験に基づくものではなく、先行品との比較試験だけで、「先行品と統計学的に有効性が同じ同じである」という判断によるもので、統計学的には±20%の範囲(正確にはバラつきを含めて80~125%の範囲)にあるとで、「先行品と全く同じ有効性を持つ」ということではないのです。
従って、アンケート調査にありますように、
ジェネリックを服用しないと答えた理由は、
- 今のジェネリック医薬品の添加物、安定性、力価等に対して信頼がないので服用しない。
- ジェネリックで不調になった患者さんを数人経験するとジェネリック服用は嫌になります。
- 主成分は同じでも副成分は異なる。単発で継続しないものなら服用してもいいかも。
- 患者さんが薬局で変更して効果が減弱したことを経験しているので服用しない。
という答えが出てくるのです。
胃薬や鎮痛薬や解熱薬などの一般医薬品であるなら、ある程度許容することができますが、高血圧薬、不整脈薬、抗癌薬、糖尿病薬など命に関わる医薬品であれば、ジェネリックを選択しないという医師の判断もうなづけるのです。
ジェネリックの選択は個人の裁量
政府は医療費削減の一環としてジェネリックの採用を推進しています。
ジェネリック医薬品の普及は、患者負担の軽減、医療保険財政の改善に資するものであり、政府としては、これを積極的に推進していくこととし、
「平成24年度までに、後発医薬品の数量シェアを30%(現状より倍増)以上にする」
という目標を掲げました。
しかし、ジェネリック医薬品の数量シェアは、平成21年9月現在20.2%で、順調に使用が進んでいるとは言えないのです。
その理由の1つに、医師、薬剤師などの医療関係者の間で、
ジェネリック医薬品の品質や情報提供、安定供給に対する信頼が十分に得られていないことが挙げらているのです。
詳しく見る ⇒ ファイザーがプロペシアのジェネリックを発売するメリット
ジェネリックを選択するメリットは価格
ジェネリックを選択するメリットは、唯一、「価格」です。
ジャネリックの価格は、先行品の約70%です。
- 30%の安さを求めてジェネリックを選ぶか、、、
- 安心を求めて先行品を選ぶか、、、
それはあなた次第なのです。
プロペシアのジェネリックを発売する権利を得たファイザーは世界最大の製薬企業で、
ファイザー社は、
- 製造技術
- 製剤技術
とも世界トップですから、ファイザーがプロペシアのジェネリックを発売したら、ファイザーのジェネリックを選択することに躊躇する必要はないと思います。
しかし、
ファイザーのプロペシアのジェネリックは安全ですが
海外のジェネリックの安全は保証されていない
詳しく見る ⇒ プロペシアを安く買うにはジェネリックか
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