日本毛髪科学協会の認定講師で毛髪診断士の けんぞう です。
今日もご覧になっていただきありありがとうございます。
今日も科学的根拠に基づいた育毛関連の情報をお届けしたいと思います。
目次
はじめに
2月10日にファイザー社は、
「男性型脱毛症治療薬である「フィナステリド錠」の後発医薬品の製造販売について国内で初めて承認を取得した」
とプレスリリースしたのですが、そのメリットはなになのでしょう、、
ファイザー社のプレスリリースは、
フィナステリド錠の後発医薬品の製造販売について国内で初めて承認を取得した
とのことで、専門家の間でも発売できるのは早くても4年半後と見られているのですが、今、プレスリリーするメリットは何なのでしょうか、、、
詳しく見る ⇒ プロペシアのジェネリックをファイザーが発売
ファイザーの発売は2019年10月か?
ジェネリック(ジェネリック医薬品)は後発品医薬品といわれます。
ジェネリック(後発医薬品)とは、
医薬品の有効成分に関する特許である物質特許が切れた後に、同じ有効成分の医薬品を他の製薬会社が製造して販売する医薬品
なのです。
プロペシアというのは、アメリカのメルク社の商品名で、その有効成分は「フィナステリド」という化学物質です。
メルク社は、フィナステリドの、
- 物質特許
- 用途特許
- 製法特許
など、多数の特許を有しています。
物質特許は、「フィナステリドはメルク社のもので、マネをして作って販売してはいけない」という特許です。
用途特許は、「フィナステリドは、男性型脱毛症の治療薬として有効である」という特許です。
この特許期間というのは、初めて化学物質を実験室で作ったときに出されますが、様々な形で提出するので、外部からはなかなか分かりません。
私も長く、国内最大手の製薬会社の研究室に勤務していましたが、特許に関しては「知的財産部」というセクションが管理しており100名近いスタッフが勤務していました。
そんな訳で、素人が判断するのは非常に難しいのですが、
メルク社のフィナステリドに関する物質特許は、2014年に終了し、特許期間満了日は2019年10月ではないかと予測されています。
2014年に特許が切れたのに満了期間が2019年というのは、医薬品の研究開発には長期間と多額の費用がかかります。
物質特許の期間は通常は20年と決められています。
研究実験段階で特許を出しても研究開発には10~15年間がかかるのは普通ですから、発売したときには特許は残り少なくなってしまうのです。
そんなことから、延長期間として5年が加算されるのです。
ファイザーは2015年4月6日に、『フィナステリド錠・ファイザー』を発売したのです。
詳しく見る >>> ファイザーがプロペシアのジェネリックを発売開始
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ファイザー社のもくろみ
ファイザー社は2015年2月10日に、
「男性型脱毛症治療薬である「フィナステリド錠」の後発医薬品の製造販売について国内で初めて承認を取得した」
と発表しました。
その内容は下記で見ることができます。
詳しく見る ⇒ ファイザー社プレスリリース
「ジェネリック製造の権利を取得した」ということだけで、それも発売は5年半後ということなのにプレスリリースを出すということは非常に異例のことです。
プレスリリースをよく読んでみますと、
ファイザーでは、男性特有の疾患であるED治療薬のバイアグラを発売しております。今後、男性型脱毛症の治療薬であるフィナステリドを発売することで、こうした疾患に悩みを持つ男性患者のQOLの向上にさらなる貢献ができると考えています。
と述べています。
ファイザー社は「男性疾患」を重点戦略として進めていくと公言しているわけですが、既発売品では、「バイアグラ」しかありませんし、ファイザー社の研究開発状況を見ても「新な男性疾患」を対象とした開発品は全くありません。
詳しく見る ⇒ ファイザー社の新薬開発状況
1998年にファイザー社が発売した勃起不全・ED治療薬バイアグラ(有効成分・シルデナフィル)は、非常にセンセーショナルでした。
しかし、シルデナフィルの物質特許が2013年5月17日に、用途特許が2014年5月13日に切れ、東和薬品、キッセイ薬品など多くの製薬会社からジェネリックが発売されました。
競合品である、レビトラ、シアリスの特許は継続中でジェネリックの発売はまだであることから、ファイザー社のプレスリリースは、「バイアグラのジェネリック発売」が背景にあるのではないでしょうか。
詳しく見る ⇒ ファイザー製薬提供 ED治療薬情報サイト
先行品とジェネリックは違うもの
先行品とは、正規品、すなわちこの場合はメルク社のプロペシアを指すのですが、先行品とジェネリックは違うものです。
先行品 = ジェネリック
と考えている方がほとんどだと思いますが、異なるものです。
物質特許が切れても同じ医薬品は作れない
医薬品には、「物質特許」、「用途特許」などがありますが、その他にも多くの特許があります。
「製法特許」、「製剤特許」などです。
製造特許は、
- 有効成分をどのような方法で製造するか
- 有効成分をどのような形で医薬品にするか
- 吸収をよくするにはどのようなものを混入するか
などの、ノウハウがあるのです。
つまり、プロペシアはフィナステリドを1mg含有していますが、実際には2g程度の錠剤です。
飲んだ後に、唾液や胃酸の影響を受けないようにしたり、消化管からの吸収をよくするようにしたり、錠剤がつぶれたりしないように、錠剤が保存中に変質ないように、、、
などの様々な技術が使われているのですが、それには多くの特許が提出されており、メルク社以外の外部の人が全てを知ることは不可能なことなのです。
物質特許が有効でもジェネリックを製造できる
物質特許がまだ有効でも、また、製法特許や製剤特許が満了していないとしても、
先行品の特許に抵触しない独自の製造法や製剤処方
によってジェネリックを製造することが可能なのです。
ジェネリックは、ジェネリック製造会社の「独自の製造法」、「独自の製剤処方」によって作られた医薬品ですから、
先行品 = ジェネリック ではない のです。
プロペシアの有効成分はフィナステリドで、1錠に1mgが含まれています、あなたが手にするプロペシアは1gはあるでしょう。
医薬品の錠剤やカプセル剤はそのほとんどが添加剤で、その添加物にも多くの研究成果が詰まっているのです。
これらの添加剤が変われば、有効成分溶け出す速度が変化したり、有効成分が消化酵素などで分解されやすくなったりします。
有効成分の溶け出す速度が遅かったり速かったりするということは、「薬の効きすぎ」たり、逆に「効果が出にくい」などが起こるのです。
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ジェネリックにメリットはあるのか
私は長らく製薬企業の研究開発部門にいたのですが、今から20~300年前にはゾロ薬のラッシュでした。
ゾロ薬というのは、先発品の特許が切れた後に、後発品がゾロゾロと発売されることから、後発医薬品(当時はジェネリックという言葉は一般的ではありませんでした)は、「ゾロ」、「ゾロ品」、「ゾロ薬」と呼ばれていましたが、研究者は「ゾロ」を手がけることはプライドが許さず、「ゾロ」は小規模の製薬会社だけが作るものでした、、、。
その結果、(一昔前の)ジェネリックは品質が悪かったり、医薬情報が薬剤師や医師に伝わらなかったり、会社の都合で製造を中止したりと、安いが信用がない医薬品というイメージが大きかったのです。
ジャネリックは先行品と同一ではない
現在では大手企業もジェネリックを手がけるようになり、かつてのような製品ではありません。
しかし、ジャネリックは、
- 先行品とジェネリックは同じ有効成分を含んでいます
- 先行品とジェネリックの質は同じではありません
- 効果に相当な差がある可能性もあります
- ジェネリックでは新たな副作用がある可能性を否定できません
ということで、テレビのCMで宣伝しているような、
「有効成分、効果が同じ」
ということではないということです。
国のジェネリック政策
最近のジェネリックの攻勢には政府のジェネリック振興政策があるのです。
政府は、ジェネリック医薬品(後発医薬品)の使用促進として次のように述べています
●ジェネリック医薬品(後発医薬品)は、先発医薬品と治療学的に同等であるものとして製造販売が承認され、一般的に、開発費用が安く抑えられることから、先発医薬品に比べて薬価が安くなっています。
●このため、ジェネリック医薬品の普及は、患者負担の軽減、医療保険財政の改善に資するものであり、政府としては、これを積極的に推進していくこととし、「平成24年度までに、後発医薬品の数量シェアを30%(現状より倍増)以上にする」という目標を掲げています。
●しかしながら、現在のところ、我が国におけるジェネリック医薬品の数量シェアは、平成21年9月現在20.2%であり、必ずしも順調に使用が進んでいるとは言えません。その理由の1つに、医師、薬剤師などの医療関係者の間で、ジェネリック医薬品の品質や情報提供、安定供給に対する信頼が十分に得られていないことが挙げられます。
しかし、、
日本の医療費における薬剤費の割合は約1割程度です。
そして、
先発品とジェネリックの差額は約3割程度です。
しかしながら、政府はジェネリックのシェアを30%まで拡大すると述べています。
ジェネリックの問題点
ファイザーは世界で最大の製薬企業ですから粗悪なジェネリックを発売するとは思われませんので、安心して服用して良いと思われます。
しかし、一般的にジェネリックについての心配な点というか、問題を明記しておきます。
ジェネリックの試験には、「有効性試験」はありますが、「安全性試験」はないということです。
従って、ジェネリックには、安全性試験成績は存在しないのです。
先行品では、遺伝子異常の「変異原性試験」、癌誘起に関する「発癌性試験」、動物を使った「動物での安全性試験(急性、亜急性、慢性)」、また、患者が服用する「臨床試験(単回~数年の臨床試験)」など、様々な角度からの安全性試験をクリアーしなければ厚労省の許可が下りませんが、ジェネリックではこれらの試験が全て省略されてしまっているのです。
有効性試験においても、「有効性が完全に同じである」わけではなく、「先行品と統計学的に差がない」ということだけで許可されるのですが、生物学的には、統計学的に±20%の範囲であれば差がないと判断されるのです。
これは、先発品と比べて20%だけ過剰な効果があったり、逆に効果がなかったとしても、統計学的には「有効性は同じ」と判断されるのです。
ある調査では、6割の医師が「ジェネリックは効果に乏しいこともある」と述べています。
詳しく見る ⇒ ジェネリックは効果に乏しい
医者も飲まないジェネリック
ネットでのアンケート調査の結果や、医師のコメントを見ますと、
「私はジェネリックを飲みません」
と述べている医師が大部分です。
薬代が30%安い
ということに、どれだけ価値を見いだすかによって各個人で異なります。
経済的に苦しいときは、少しでも薬代が安いことに越したことはありませんが、自分の健康とお金をどう考えるかによります。
バイアグラのジェネリックの第一号は、東和薬品のシルデナフィルOD錠50mgVI「トーワ」で、成分はバイアグラ50mgと同じで、「コーヒー風味」と「レモン風味」の2種類の風味があるそうですが、ED治療薬に「コーヒー風味」と「レモン風味」が必要なのかは疑ってしまいます。
ちなみに、東和薬品に続く、バイアグラのジェネリックの発売性やき企業は、
- キッセイ薬品工業
- 株式会社陽進堂
- あすか製薬株式会社
- テバ製薬株式会社
- シオノケミカル株式会社
- 富士化学工業
- 大興製薬株式会社
- 日医工株式会社
と続いていますが、あなたはどれだけご存じの製薬会社がありますでようか、、、
まとめ
今日は、「ファイザーのプロペシアのジェネリックを発売するメリット」というタイトルから随分脱線してしまいました。
ジェネリックを否定するものではありませんが、テレビコマーシャルとは違って、「先行品とジェネリックは同一品ではない」ということです。
ジェネリックを製造販売している会社は決して怪しい会社ではありません。
海外の会社については要注意ですので、また別の機会に書きたいと思います。
いずれにしても選択するのはあなたです。
M字ハゲについても、何が原因なのかを充分勉強して、過大広告に欺されないように、出来るだけ真実を追究して選んでください。
参考までに、私のブログの関連記事を読んでいただければ幸いです。
参考記事 >> プロペシアの性機能に関する副作用は本当です
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