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プロペシアは前立腺癌を予防する?

日本毛髪科学協会の認定講師で毛髪診断士の けんぞう です。

今日もご覧になっていただきありありがとうございます。

今日も科学的根拠に基づいた育毛関連の情報をお届けしたいと思います。

 

はじめに

こんな質問がありました。

『プロペシアは前立腺癌を予防するのは本当ですか?』

そこで、早速、調べてみました。

 

 

プロペシアは前立腺肥大や前立腺癌の薬

私は、製薬企業の研究所で働いていたのですが、

「プロペシアは前立腺癌を予防する」

ということは良く聞きました。

 

プロペシアというのは、米国の製薬会社であるメルクが開発したフィナステリドという化学物質の日本における商品名です。

 プロペシア: 商品名

 有効成分 : フィナステリド

 フィナステリドの化学構造

フィナステリドは、抗男性ホルモン作用を持つ化学物質で、男性ホルモンのテストステロンをDHT(ジヒドロテストステロン)へ変換する酵素である5α-リダクターゼ(還元酵素)を抑制する作用を持つ物質です。

 フィナステリドの作用 : 5α-リダクターゼ抑制

メルク社は、1992年に前立腺肥大、前立腺癌の治療薬としてFDA(米国の厚生労働省)から承認を得てプロスカーの商品名で発売しました。用量は5mgです。

その後の研究によって、1mgの用量で男性型脱毛症(AGA)にも効果があることが明らかになり、1997年にAGAの治療薬としても承認されました。

日本では、万有製薬(現;MSD)が2001年にAGA治療薬としての臨床試験を開始し(2003年に終了)、2005年10月に厚生労働省に承認(用量は1mg)され、12月に、プロペシアの商品名で発売したのです。

 

 

有効成分名 :フィナステリド

米国での商品名と適応症

 プロスカー 5mg : 前立腺肥大、前立腺癌

         1mg : 男性型脱毛症

日本でのでの商品名と適応症

 プロペシア 1mg : 男性型脱毛症

 プロペシアは米国では前立腺肥大・前立腺癌の治療薬

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科学的根拠はあるのか?

フィナステリドは米国ではプロスカーの商品名で前立腺癌の治療薬として発売されていることは間違いありません。

しかし、用量は5mgであり、日本で男性型脱毛症として承認されている用量の5倍です。

プロペシアが前立腺癌の予防に効果が有るのではないかといわれるようになった根拠は、

New England Journal of Medicine(NEJM)という英国の医学雑誌に2003年7月に掲載された、

The Influence of Finasteride on the Development of Prostate Cancer

という論文です。

 

この臨床試験は「PCPT」と呼ばれる、Prostate Cancer Prevention Trialという、前立腺癌予防試験です。

この試験は、1994年から55歳以上の男性24,482人を対象に行った大規模試験で、

  1. 前立腺特異抗原(PSA)値が3.0ng未満
  2. 直腸診で前立腺肥大が認められない

前立腺癌の低リスク男性、18,882人を、

  • プラセボ群
  • フィナステリド群(1日量5mg)

の2群に分け、7年間追跡調査したのです。

 

試験期間中、対象患者はプラセボ、またはフィナステリドを毎日服用し、年に1回、直腸指診とPSA検査を受けたのです。

その結果、両群の前立腺癌の発生率は、

  • プラセボ群    : 24.4%
  • フィナステリド群 : 18.4%

 

この結果から、

フィナステリドの服用で前立腺癌が減少することが確認されたのです。

さらに、副作用については、

  • フィナステリド群で勃起障害、性欲減退などが有意に多かった
  • プラセボ群では前立腺肥大や排尿障害が有意に多かった

という結果だったのです。

 詳しく見る >>> プロペシアの性機能に関する副作用は本当です

 

しかしながら、

フィナステリド群で発生した前立腺癌は予後が悪い(術後経過が悪い)という結果が得られ、

  1. フィナステリドは前立腺癌の発生を有意に減少させるが、前立腺癌が発生したときには予後が悪い
  2. フィナステリドは前立腺癌の発生を有意に減少させるが、勃起障害、性欲減退などの副作用が有意に多い

 という結果が得られたのです。

 

国内で、男性型脱毛症の適応で処方されている用量は1mgで、上記の試験の5mgと比較することは出来ませんが、5mgの服用では上記の結果が得られているということです。

上記の試験は医師の管理下の下で行われて試験ですから、自己判断で服用量を変えることは絶対にしてはいけません。 

 

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プロペシアは前立腺癌を見落とす

 プロペシアは、戦慄腺肥大に関わる「5α-リダクターゼ」を抑制することは確実なのです。

5α-リダクターゼによって産生される、

DHT(ジヒドロテストステロン)という男性ホルモンが、

  • 男性型脱毛症
  • 前立腺肥大
  • 前立腺癌

に関わっていることは医学的、科学的に間違いの無いことなのです。

ですから、

  1. 男性型脱毛症
  2. 前立腺肥大
  3. 前立腺癌

では、『5α-リダクターゼ』を抑制する必要があるのです。

男性型脱毛症の予防にために、プロペシアを服用することは正しい選択です。

しかし、

個人の「判断で服用している方は要注意です。

 

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PSAという検査項目をご存じでしょうか、、、

PSAは、前立腺癌特異抗原検査といって、50歳を過ぎた男性は健康診断のときの検査項目に入っているのでご存じだと思います。

PSA検査というのは、採血で、血液中にある前立腺に特異的な蛋白質の一種であるPSAの値を測定し、前立腺癌のスクリーニング検査のなかでも最も精度が高く、簡単に調べることが出来る検査法なのです。

 

プロペシア服用者はPSA値が低めに出やすい

しかし、注意しなければならないのは、

『プロペシア服用者はPSA値が低めに出やすい』

ということです。

 

これは、

プロペシア服用者は前立腺癌の見落としが多い

という可能性が高いのです。

 

医療関係者の中でも、

「フィナステリド服用者のPSA検査では、検査値を2倍にするか、または、上昇率で評価しなければならない」

ということがいわれています。

 

その理由は、プロペシアにはPSAの分泌を抑える作用があるかです。

プロペシアは、脱毛の原因と5α-リダクターゼという酵素を阻害する活性が有り脱毛を防ぐのですが、

同時に、前立腺上皮細胞のPSA産生をも抑えてしまうため、前立腺患者のPSAの値も減少するため、

前立腺患者の診断を誤ってしまう可能性が高いのです。

フィナステリド服用者のPSA値の変化

 

実際にフィナステリド投与後のPSA値の変化率を調べると、PSA値が30~40%も低下しているのです。

同じような成績は、

海外の研究論文(Lancet Oncology 2007; 8: 21-25)でも多く報告されており、フィナステリドの服用者ではPSA値が低くなることは間違いなく、前立腺癌の検査では見逃される可能性が高いのです。

プロペシアは男性型脱毛症に最も効果がある、国内で唯一の治療薬ですが、プロペシアを服用するのであれば、きちんと医療機関の管理下の下で服用すべきです。

個人の判断で、個人輸入によるジャネリックの服用は避けるべきだと思います。

正規品とジャネリックの価格差は大きくありません。

貴方の健康は貴方の判断でしか守ることがでいません。

詳しく見る >>> プロペシアを安く買うにはジェネリックか

 

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