円形脱毛症は治さなくても良いのか?
円形脱毛症に悩んでいる人は非常に多く、
皮膚科を受診する人の3~5%は円形脱毛症で、
国内には円形脱毛症に悩んでいる人が100万人とも言われています。
芸能人でも円形脱毛症に悩んでいる人が多く、
たちなど、多くの人がカミングアウトしています。
このサイトでも
など、円形脱毛症の治療について多くを取り上げており、
4月には東京テレビで取り上げた、
もご紹介しましたので読んでくださったかと思います。
ことを取り上げてきたのですが、
6月20日の朝日新聞は、
円形脱毛症は治療しなくてもいい|学会が指針改定
という特集でした。
日本皮膚科学会は円形脱毛症は治療しなくてもいいとの指針を出した
というのです。
日本皮膚科学会は円形脱毛症を治療しないことも推奨
6月20日の朝日新聞の特集は、
円形脱毛症は治療しなくてもいい 学会が指針改定
でしたがご覧になりましたか?
詳しく見る ⇒ 朝日新聞DEGITAL
円形脱毛症では、根本的な治療法がないのが現状であることから、患者の心身の負担なども考慮し、
- ヴィックを使用する
- 治療しないで経過観察をする
などの、治療に固執しない考えを紹介したのです。
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日本皮膚科学会は円形脱毛症は治療しなくても良い?
昨年12月に、日本皮膚科学会は、
2010年に公表した円形脱毛症診療ガイドラインを改定し、
円形脱毛症診療ガイドライン2017
を発表しました。
詳しく見る ⇒ 日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン
このガイドラインは臨床皮膚科医を対象に、
科学的根拠に基づいた信頼性の高い治療効果を検証して診療方針に役立つガイドラインを作成したものです。
ガイドラインでは、
- 円形脱毛症の診断
- 円形脱毛症の原因
- 円形脱毛症の治療
- 円形脱毛症の予後
などが網羅されていますが、
円形脱毛症の治療としては、
29の治療方法について、
- 推奨A : 行うよう強く勧める
- 推奨B : 行うよう勧める
- 推奨C1: 行ってもよい
- 推奨C2: 行わないほうがよい
- 推奨D : 行うべきではない
という5段階で評価したのです。
残念ながら現状では、
行うよう強く勧めるという
という推奨Aに相とする治療法はないのです。
推奨B:行うよう勧める として挙げられたのは、
推奨B | ステロイド外用療法 |
推奨B | 局所免疫療法 |
推奨B | ステロイド外用療法 |
の3療法でした。
さらに、
円形脱毛症は自己免疫疾患によるのではないかとの考えが有力になってきたとしながらも、
自己免疫の異常を引き起こす原因が明らかになっておらず、
寛解に導く決定的な治療法がないのが現状だとして、
- かつら(ヴィック)を使用する
- 治療せずに経過観察のみ行う
についても、
「推奨C1:行ってもよい」としたのです。
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円形脱毛症なら早期に診察を受けた方が良い
日本皮膚科学会の円形脱毛症の診療ガイドラインでは、
推奨度C1 : 治療せずに経過観察のみ行う
としたのですが、
詳しくは、
推奨文:
患者に対し心理的な配慮を行いつつ,治療せずに経過観察するという選択肢を患者へ提示してもよい
としており、放置するわけではありません。
解説では、
円形脱毛症を治療せずに経過観察した研究において、
- 単発型や少数多発型円形脱毛症の患者1,716 例のうち1,263 例は 1 年以内に脱毛斑が消失した
- 重症型の全頭型や汎発型円形脱毛症では改善(略治)例は稀であり予後は悪い
ことが明らかになっており、
さらに、
- 明確に発毛を促進させる治療法はなく
- 長期予後が改善するという明確なエビデンスもない
として、
患者に対し心理的な配慮を行いつつ治療せずに経過観察するという選択肢を患者へ提示してもよい
とアドバイスしているのです。
誤解していけないのは、
治療しないことをススメているわけではないのです。
ガイドラインでもエビデンスを示していますが、
軽度の円形脱毛症の場合には1年以内に治る
といわれているのです。
そして、これまでの研究では、
円形脱毛症の15~20%は重症の円形脱毛症に移行する
ということも明らかになっており、
ですから、
円形脱毛症に気づいたら軽度でも早期に専門医の診察を受けるべき
なのです。
その上で、
医師による治療で効果が得られなかったときには、
- 治療せずに経過を観察する
という選択肢もあるということなのです。
治療や経過観察によって改善がみられたとしても、
円形脱毛症患者を20年間にわたって追跡調査したところ100%で再発した
という報告もあることから、
医師とのコンタクトを絶やさないようにして円形脱毛症の再発を防ぐ努力も必要なのです。
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