リアップの売上本数6,000万本超|大正製薬
日本毛髪科学協会の認定講師で毛髪診断士の けんぞう です。
今日もご覧になっていただきありありがとうございます。
今日も科学的根拠に基づいた育毛関連の情報をお届けしたいと思います。
目次
はじめに
大正製薬のリアップ。
リアップといえば子供でも育毛剤だと知っているほど有名になったリアップ。
1999年に発売を開始してから18年になりますが、2017年7月に累計販売本数が6千万本を突破したそうです。
大正製薬のリアップの売上本数は6,000万本
大正製薬は、
1999年に発売を開始して以来、2017年7月mでに累計販売本数が6千万本を超え、
これを記念して容量を増量した「リアップX5プラスローション」72mL を限定発売するとプレスリリースしました。
詳しく見る ⇒ 大正製薬プレスリリース
日本人男性の総数2017年9月時点で6,184.2万人、成人男性は5,046万人ですから、
日本人の男性は全員がリアップを使った経験が有る、、との計算になるのです。
もちろん、育毛剤の売上げではリアップが国内ナンバーワン。
大正製薬の2017年3月期の売上げ高は1,800億円で、
売上げ高の構成比は、
- リポビタンシリーズ 585 億円 (32.5%)
- パブロンシリーズ 263億円(14.6%)
- リアップシリーズ 161 億円 (8.9%)
と、大正製薬を支える三本柱の一本なのです。
大正製薬では、リアップの開発の経緯を2017年9月27日 に 共同通信PRワイヤー にリシースしています。
このサイトでも、リアップの詳細については書いてきましたが、
読んでおられないかともいらっしゃるでしょうから、読みやすく簡単に纏めてみました。
リアップは高血圧の薬だった
リアップの添付文書やパッケージには、
効能・効果
壮年性脱毛症における発毛、育毛及び脱毛(抜け毛)の進行予防
と記載されています。
壮年とは一般的に25~44歳とされていますから、壮年性脱毛症は30~50代に見られる脱毛症ということになり、
10~20代に見られる若年性脱毛症と区別されます。
良く聞くAGAといわれる男性型脱毛症も壮年性脱毛症の中に含まれます。
壮年性と明記していうのは、後で説明しますが、リアップは20歳未満の男性には使用不可だからだと思われます。
もうご存じでしょうが、
リアップは高血圧の治療薬でした。
リアップの有効成分はミノキシジルという化学物質ですが、
ミノキシジルはアメリカのアップジョン社 (現 Johnson & Johnson 社)という製薬会社が開発した物質です。
アップジョン社はミノキシジルを経口剤の高血圧の治療薬として開発したのですが、
開発中に副作用として多毛症があることが判明したのです。
そこで、外用の育毛剤としても開発を進め、
1988年に脱毛症の治療薬としても承認されたのです。
アメリカでの発売に次いで約70ヵ国でも外用の育毛剤として発売され、
一部の国では経口の育毛剤としても認可されていますが、日本では経口の育毛剤としては承認されていません。
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リアップのダイレクトOTC薬とはなに?
アメリカで育毛剤としてミノキシジルが発売された当時、日本の育毛剤市場は250億円程度(現在は700億円規模)でしたが、
多くの製薬会社がミノキシジルの獲得で競いました。
大正製薬は、1985年に数十社の契約獲得競争に打ち勝ちミノキシジルの導入契約にこぎつけたのですが、
大正製薬では、ミノキシジルの獲得に成功した理由は「ダイレクトOTC薬の提案があったから」だったと共同通信PRワイヤーのリリースの中で述べています。
リアップのダイレクトOTC薬とは
医薬品には、
- 医療用医薬品 : 医者の処方箋で処方される
- 一般医薬品 : 薬局やドラッグストアで販売される
の2つがあるのですが、
一般医薬品は「薬局のカウンターで販売される」ことから、Over The Couter ということで、OTC薬とも言われるのです。
薬局で販売される一般医薬品は、
- 研究開発
- 医療用医薬品として承認
- 医療用医薬品として安全性や効果が保障
- 一般医薬品として承認
という手順で承認されるのが普通で、数年前に第一三共のロキソニンが医薬品からOTCになったのを憶えておられる方も多いと思います。
ダイレクトOTC薬とは、
- 研究開発
- 一般医薬品として承認
という手順をいうのです。
大正製薬はミノキシジルをダイレクトOTC薬とした理由として、
- 日本では育毛剤は薬局やドラッグストアで販売されている
- 日本では薄毛で病院に行く習慣がない
だったと述べています。
リアップは厚労省の承認を得るために14年もかかった
1985年にアップジョンと導入で提携した大正製薬ですが、
リアップの発売は1999年でなんと14年もかかっているのです。
導入締結から発売まで14年もかかったのは、大正製薬の見込み違いがあったようです。
ミノキシジルはアメリカでは「ロゲイン」という商品名で販売されています。
大正製薬では当時の厚生省への申請に必要な有効性や安全性に関する臨床試験成績はロゲインのものが使用できると考えていたのです。
しかし、厚生省は、
日本人における安全性や有効性の試験成績を求めたのです。
そのため、大正製薬は、
国内の40施設において脱毛症患者における有効性や安全性の試験をおこなわなければならなかったのです。
1人の脱毛症のデータ収集に少なくとも半年間が必要ですから有効性を判定するには500名の患者が必要だったと述べています。
そして、1%ミノキシジル溶液を1日2回、6ヵ月間塗布すれば薄毛が解消できるという臨床成績を得ることができたのです。
この時の対象患者は成人男性だったため、
リアップでは「20歳未満の男性は使用禁止」になっているのです。
また、男性では5%溶液での臨床成績も得られたいるため「リアップx5」が発売されていますが、
女性では1%溶液での臨床試験しかおこなわれていないので、女性では1%溶液しか使用できません。
経口剤のリアップは今後も発売されない
大正製薬では、
「正確に1mlを測定できる容器」の開発も困難であったと述べています。
化粧品や医薬部外品であれば頭に塗布する量は“適量”でも良いのですが、
リアップは医薬品ですから使用量を厳密に測りとる容器が求められたのです。
さらに子供が間違って飲まないようにする誤飲防止機能も求められたのだそうです。
それらの、厚生省からの要求に答えるために14年の年月がかかってしまったのです。
海外ではミノタブといわれるミノキシジルのタブレット(錠剤)も販売されていますが、この適応症は高血圧の薬で脱毛症の適応ではありません。
詳しく読む ⇒ ミノタブは安全で効果があるのか?
実は大正製薬もミノキシジルの経口剤の開発を目指していたようなのですが、
犬を用いた動物実験において犬が心臓破裂で死亡する事例が認められたことから中止になったといわれています。
育毛剤といえどもリアップは医薬品ですから、それも心臓や血管に作用する作用を有する医薬品ですから使用上の注意は厳密に守るべきなのです。
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リアップの強敵はメディカルミノキ5
医薬品としての育毛剤市場はリアップの独壇場だった。
医薬品としては大正製薬のリアップ以外にも第一三共のカロヤンがある。
カロヤンは1979年に第一製薬が売り出し今まで続いている息の長い一般医薬品の育毛剤です。
しかし、1999年に塗る育毛剤として売り出したリアップの敵ではなかった。
通常ならジェネリック医薬品が登場してもおかしくないのだが、
リアップの有効成分であるミノキシジルは、
- 溶液に溶けにくい
- 安定性が良くない
という化学的特性があるために他の製薬メーカーが追従できなかったのです。
それが、この10月、アンファーがミノキシジルのジャネリック版とも言えるメディカルミノキ5を販売すると発表したのです。
残念ながら、発売当日に添付文書のイラストに問題があったとして発売が延期され、出鼻をくじかれてしまった、、、。
アンファーは、
これまで発毛剤の使用率が低かった30代男性をメーンターゲット
にして、
マツモトキヨシやネット通販で3年後の2020年までに90億円の売り上げを目標にしている。
リアップの2016年度の総売り上げ高は160億円だから、新規の顧客を開拓したとしてもメディカルミノキ5の90億円はリアップの市場に食い込んでくることは間違いないと思われるのだが、
スカルプDのネット通販会員にメディカルミノキ5を訴求すれば、90億円は達成できない額ではないと思われる。
大正製薬もTVでのリアップの宣伝数を増やしているようで、しばしば目に付くが、
現時点ではリアップとメディカルミノキ5は、
- 同じ成分
- 同じ効果
- 同じ価格
と全く同じなのだが、われわれ消費者にとっては「価格競争」に移ってほしいものです。
両者の成分や効果は全く同じといっても良いのです。
詳しく見る ⇒ メディカルミノキ5とリアップを公平に比較してみた
さらに、上に書いたように、
ミノキシジルは製品化が難しいのですがアンファーと東亜薬品が成功したことから、第2第3のミノキシジル・メーカーが現れないとも限らないのです。
メディカルミノキ5の発売ももうすぐです、
メディカルミノキ5の発売で大正製薬ののリアップ戦略がどのように変わるのか、消費者に好ましい状況になって欲しいものです。
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