ザガーロの発売時期と価格
グラクソスミスクライン社のザガーロがAGA治療薬として承認されました。
残念ながら、ザガーロもプロペシアと同様に、
- 20歳未満の男性は使用禁止
- 女性は使用禁止(妊婦は触ることも禁止)
なのです、、。
ザガーロの作用機序はMSD社のプロペシアと同じ5α-リダクターゼ抑制作用です。
男性の脱毛症ではプロペシアとザガーロの二つの選択肢ができたことになるのですが、
- ザガーロはいつ発売されるのか?
- ザガーロの価格はいくらか?
- ザガーロはプロペシアより有効なのか?
ということが気になるのではないでしょうか?
あなたのために、できる限りの情報を集めてみました。
目次
ザガーロはどんな脱毛症治療薬なのか
先日お伝えしましたように、
グラクソスミスクライン社が男性型脱毛症治療薬として申請していたザガーロが厚生労働省に承認されたと、9月28日にプレスリシースしました。
詳しく見る ⇒ アボルブがAGAで承認され商品名はザガーロ
ザガーロの有効成分は、デュタステリドという化学物質で、デュタステリドは2009年にアボルブという商品名で前立腺肥大症の適応で発売されていますので、正しくは、デュタステリドの適応拡大が承認されたということです。
気になるのは、発売時期や価格、プロペシアとの有効性の違いなどなのですが、まずはザガーロはどんな薬なのかを見てみましょう。
ザガーロの効能は、
【効能・効果】 : 男性における男性型脱毛症
で、MSD社のプロペシア(物質名はフィナステリド)と同じ効能です。
フィナステリドについては、ジェネリックが承認され、ファイザー社は2015年4月に発売開始しています。
詳しく見る ⇒ ファイザーがプロペシアのジェネリックを発売開始
従って、MSD(アメリカの親会社はメルク)、ファイザー、グラクソスミスクラインと売上げで世界2位のファイザー、4位のメルク、6位のグラクソと男性型脱毛症の治療薬市場は群雄割拠煮突入ですね、、、。
ザガーロの【用法・用量】は、
- 男性成人にデュタステリドとして0.1mgを 1 日1 回経口投与
- 必要に応じて0.5mgを 1 日 1 回経口投与
です。
前立腺肥大症の治療では、デュタステリド0.5mgを 1 日 1 回経口投与ですが、アボルブのカプセルは非常に大型のソフトカプセルですが、ザガーロの0.5mg投与ではこれと同じなのでしょうか。
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ザガーロの有効性と副作用
グラクソスミスクライン社は男性型脱毛症の疾患啓蒙サイトを立ち上げました。
承認されてからまだ1週間も経過していないので、ComingSoonと未だ何も書かれていない頁も多いのですが、、、。
詳しく見る ⇒ 疾患啓蒙サイト
ザガーロの作用機作
ザガーロの作用機序は、「5α-リダクターゼ抑制作用で、1型2型の両方を阻害し、テストステロンがジヒドロテストステロン(DHT)に変換されるのを阻害して、DHT濃度を低下させることで毛髪数を増加させる」と記載しています。
この点については、プロペシアや医薬部外品の薬用プランテル、ブブカなどと同じですね。
ザガーロの有効性
ザガーロの有効性については、第Ⅱ/Ⅲ相国際共同試験(第Ⅲ相試験:非劣性試験 )を公表しています。
日本人以外の男性をも含む、20~50歳の男性型脱毛症患者917例を対象にした二重盲検試験です。
二重盲検試験というのは、医者も患者もどれが偽薬でどれが本物の薬かわからないようにして行う試験です。
さらに、実薬/プラセボ対照・並行群間比較試験ということで、プラセボのほかに先行品であるフィナステリド(プロペシア)と比較した試験です。
近年では、先行品があるときには先行品に勝る有効性や利便性が確認されないと承認されないのですから医薬品開発も非常にハードルが高くなりました。
この臨床試験では、
- プラセボ群
- ザガーロ0.1mg群
- ザガーロ0.5mg群
- フィナステリド1mg群(プロペシア)
に、1日1回24週間経口投与し、
- 発毛(毛髪数のベースラインからの変化量)
を、主要評価項目として、
- ザガーロのプラセボに対する優越性
- ザガーロの用量反応性
- ザガーロのフィナステリドに対する非劣性および優越性
を調べたのです。
その結果、
ザガーロを1日1回24週間経口投与したところ、
24週時の検査では、
- 血清中と頭皮中DHT濃度と毛髪数のベースラインからの変化は投与量依存的であった
- 頭皮中と血清中のDHT濃度は投与量の増加に伴い減少し、毛髪数は増加した
- ザガーロ0.5mg群ではDHT濃度が頭皮中で51.8%、血清中で90.2%減少し、毛髪数が94.5本増加した
という結果が得られたそうです。
24週間投与で95本ですか、、。
正常者での頭髪数は10万本、1日に抜ける本数は平均100本といいますから、、、。
ザガーロの性機能に対する副作用
さて、プロペシアと同じように、ザガーロも性機能に関する副作用が気になるところです。
上記の試験で、ザガーロを投与されて患者は557人で、その中に日本人は120人含まれていたそうです。
副作用は95人(17.1%)で観察されています。
- 勃起不全 : 24例 (4.3%)
- 性欲減退 : 22例 (3.9%)
- 精液減少 : 7例 (1.3%)
だったそうです。
日本人の120人に限っては、
- 性欲減退 : 7例 (5.8%)
- 勃起不全 : 6例 (5.0%)
- 射精障害 : 2例 (1.7%)
でした。
さらに、国内の日本人に限ってはさらに延長して投与されたようですが、
勃起不全 : 13例 (10.8%)
性欲減退 : 10例 (8.3%)
射精障害 : 5例 (4.2%)
だったそうで、性機能に関する副作用はプロペシアと同様にあることは間違いなさそうです。
この試験でもプロペシア(フィナステリド)投与群もあったのですが、その性機能に関する副作用の発現率については書かれていません。
詳しく見る ⇒ ザガーロの添付文書
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ザガーロとプロペシアの違い
性機能に関する副作用ではザガーロとプロペシアに大差はなさそうで、いずれも性機能に関する副作用は5%程度あることは間違いなさそうです。
では、どちらを選べば良いのか、、、、
迷うところですが、
ザガーロとプロペシアの作用の違い
ザガーロもプロペシアも両方とも5α-リダクターゼ抑制作用なのですが、多少違うのです。
5α-リダクターゼはテストステロンをジヒドロテストステロンに変える酵素なのですが、1型と2型の2種類があるのです。
- 1型5α-リダクターゼ
体全体に存在し、ほとんどの毛乳頭に存在する - 2型5α-リダクターゼ
毛乳頭や前立腺に存在し、頭部では頭髪の生え際や頭頂部の毛乳頭に多い
ザガーロとプロペシアの違いは、
- ザガーロは5α-リダクターゼの1型と2型の両方を阻害する
- ザガーロは5α-リダクターゼの2型のみを阻害する
男性型脱毛症(AGA)では、全身の体毛に存在する1型より頭皮に多く存在している2型がより大きく関わっているとされているのですが、
ザガーロとプロペシアの5α-リダクターゼ抑制作用の相違はどうなのでしょうか、、、。
ザガーロとプロペシアの有効性の違い
グラクソスムスクラインは、第Ⅱ/Ⅲ相国際共同試験(ARI114263試験)において、ザガーロとフィナステリド(プロペシア)の効果を比較しています。
この試験では、ザガーロとフィナステリド(プロペシア)を24週間投与し、毛髪数で評価していますが、
- プラセボ群 : -4.9本
- ザガーロ0.1mg群 : 63.0本
- ザガーロ0.5mg群 : 89.6本
- フィナステリド1mg群 : 56.5本
と、
- ザガーロの0.1mgと0.5mg群ではプラセボ群より毛髪数が有意に増加
- ザガーロの0.5mg群ではフィナステリド1mg群より毛髪数が有意に増加
したと報告しています。
新発売のザガーロの発売時期と価格
ザガーロは9月28日に厚労省から製造販売承認を取得したわけですが、
通常の医療用医薬品では、
- 厚労省の承認
- 薬価収載
- 発売
という過程を経て発売されます。
ザガーロの発売は10月末か11月初めか?
通常の医療用医薬品では健康保険が適用されますので、社会保険診療で医療機関が保険者に請求する薬剤報酬を算定する基準価格を決める必要があり、毎年、5月と11月に定期収載されるのですが、男性型脱毛症は保険適用されませんので、薬価収載はありません。
製薬企業が、このくらいの価格で売って欲しいと医療機関に「参考価格」を提示するだけなのです。
ですから、発売の準備ができれば直ぐにでも発売が可能なのです。
- 流通の手配
- 医療情報担当者(MR;Medical Representative)の教育
- 医療機関や薬局への情報提供
が完了すれば直ぐにでも販売を開始すると思われます。
上に書きました、グラクソスミスクラインの「男性型脱毛症の啓蒙サイト」や「医療関係者向け情報サイト」も出来つつありますので、発売は間近だと思われます。
ザガーロの価格はプロペシア並み?
ザガーロはプロペシア同様に、保管適応外の医療用医薬品ですから、製薬企業が、このくらいの価格で売って欲しいと医療機関に「参考価格」を提示するだけなのです。
また、製薬会社による医療機関との医薬品の価格交渉は廃止され、製薬会社は医薬品の情報提供を中心とした営業活動のみを行い、価格交渉は医薬品卸会社に任すようになっています。
プロペシアの価格は、1ヵ月(28日)で6,500円~7,500円程度のようです。
たくさん販売する医療機関には医薬品卸会社も割安な価格で卸すようですし、また、医療機関によっては初回のみ格安な価格で処方するところもあるようです。
プロペシアのジェネリックの価格もほぼプロペシア並みの、6,000円程度のようです。
詳しく見る ⇒ プロペシアのジェネリックとその価格は
しかし、プロペシア、プロペシアのジェネリック、ザガーロと、大手製薬会社の3品が揃ったのですから、価格競争が起こる可能性もありますし、今後、ファイザー以外からもプロペシアのジェネリックが発売される予定がありそうですから、興味深いところです。
アボルブの価格は80円
ザガーロの0.5mgカプセルと、アボルブ0.5mgカプセルの成分は同じです。
アボルブは前立腺肥大症治療薬ですから当然、保険適用されます。
アボルブ0.5mgの薬価は210.9円で、泌尿器科で処方してもらえば1錠80円で、30錠で2,400円です。
実は、私は前立腺肥大症のだといわれており(50歳内外のほとんどの男性はそうですが、、)、アボルブを処方してもらったときがあるのです。
しかし、性機能に対する副作用が怖くて、そうでしょう、50歳くらいで性欲減退、勃起不全は嫌なので、2日程飲んだだけで、別の薬に変えてもらった経緯があるのです、、、。
AGAと夜間頻尿などの前立腺肥大の症状があったら泌尿器科でアボルブの処方がお得です
いかがでしたでしょうか。
現時点で分かっている情報を取り纏めてみましたが参考になったでしょうか。
新たな情報を入手しましたら直ぐにアップしますので、また覗いてみて下さい。
新しい情報 ⇒ ザガーロとプロペシアの有効性の比較
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